ISO14001情報ステーション
環境法令管理室_テーマ別法令主要改正解説

循環型社会3

7.食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)  法律

食品リサイクル法は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設リサイクル法)と同様、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の下位法との位置づけを有する法律として、2000年6月に制定されました。
食品廃棄物は、@製造・加工段階で出される動植物性残渣、A流通過程で出される売れ残り食品、B消費段階で出される食べ残し、に分けられます。このうち@は産業廃棄物、ABは事業系一般廃棄物(食品流通業及び外食産業)と一般廃棄物(家庭)、に該当します。

近年、コンビニエンスストアや外食チェーン店の増大など、食を取り巻く環境は大きく変貌を遂げました。たとえば、食生活の多様化・高度化に伴う消費者の過度の鮮度志向は、食品の大量廃棄の要因となっています。また、経済的なゆとりは大量の食べ残しの発生や多くの食品の浪費へと繋がっています。
一方で、土地利用の高度化、住民の環境への意識への高まり等を背景として廃棄物の処理施設の確保はこれまでにも増して困難なものとなってきており、最終処分場の残余容量のひっ迫等廃棄物処理をめぐる問題の深刻化も、食品リサイクル法制定当時の大きな政策課題でもありました。

このような状況の中で、健全な食料生産及び食料消費並びに食品廃棄物等の減量を実現するためには、関係者の適切な役割分担の下、食品に係る資源の有効な利用と食品に係る廃棄物の排出の抑制を一体的に推進していくことが求められます。特に、食の外部化の進展、加工食品の増大等を背景として、食品関連事業者の事業活動に伴い生ずる食品廃棄物等の増大が見込まれていたことから、食品産業の健全な発展、食品関連事業者による食品循環資源の再生利用等の取組の促進を目的として、食品リサイクル法が制定されました。

<食品リサイクル法の概要(PDF)

【1】基本方針(PDF)の策定等

主務大臣は、食品循環資源の再生利用等を総合的かつ計画的に推進するため、基本方針を定める、とされ、2001年5月30日に『食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針』(PDF)が策定されました。同基本方針(PDF)では、再生利用等の量に関する目標を、2006年度に発生する量の20%以上と定められています。

また、『食品に係る資源の有効な利用の確保及び食品に係る廃棄物の排出の抑制を図るためには、食品の製造、流通、消費、廃棄等の各段階において、食品循環資源の再生利用並びに食品廃棄物等の発生の抑制及び減量を推進し、環境への負荷の少ない循環を基調とする循環型社会を構築していくことが必要である』としたうえで、循環型社会形成推進基本法(循環基本法)に定める循環型社会の形成についての基本原則(リデユース、リユース、リサイクル、適正処理の順)に即して食品廃棄物等の特性を踏まえた対応の実施をすることが規定されています。

なお、『食品循環資源』とは、食品廃棄物であって、飼料・肥料等の原材料となるなど有用なもの、を、『再生利用』とは、食品循環資源を飼料・肥料・油脂及び油脂製品・メタンとして利用し、又は利用する者に譲渡すること、を、『再生利用等』とは、再生利用、発生抑制、減量(乾燥・脱水・発酵・炭化)のこと、を言います。

【2】食品関連事業者による再生利用等の実施(法第3条、第7条〜第9条)

食品リサイクル法では、食品関連事業者(製造、流通、販売、外食など約100万業者)の再生利用等の実施について、下記のように定められています。
@食品関連事業者は、主務大臣が定める判断の基準となるべき事項(PDF)に従い、再生利用等に取り組むものとする。判断の基準となるべき事項では再生利用等の実施の原則、発生抑制の方法、特定肥飼料等の製造基準等について定める。
A主務大臣は、食品関連事業者に対し、必要があると認めるときは、指導、助言を行うことができるものとする。
B主務大臣は、再生利用等が基準に照らして著しく不十分であると認めるときは、食品関連事業者(年間の食品廃棄物等の発生量が100トン以上のもの)に対し、勧告、公表及び命令を行うことができるものとする。

【3】再生利用を実施するための措置(法第10条〜第17条、法第18条〜第19条など)

食品関連事業者が再生利用を実施するための措置としては、@委託による再生促進を目指す登録制、A循環過程の一体化により再生促進を目指す認定制、の二つの措置が定められています。

@食品循環資源の肥飼料化等を行う事業者についての登録制度を設け、委託による再生利用を促進。この場合、廃棄物処理法の特例等(運搬先の許可不要、料金の上限規制をやめ事前の届出制を採用、差別的取扱の禁止)及び肥料取締法飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律(飼料安全法)の特例(製造・販売の届出不要)を講ずる。
A食品関連事業者が、農林漁業者等の利用者や肥飼料化等を行う者と共同して再生利用事業計画を作成、認定を受ける仕組みを設け、三者一体となった再生利用を促進。この場合、廃棄物処理法の特例等及び肥料取締法飼料安全法の特例を講ずる。

【4】他法令における特例

(1)廃棄物処理法(法第20条)

廃棄物処理法においては、廃棄物の収集運搬に際し、運搬元と運搬先の許可権限自治体が異なる場合は、それぞれの許可が必要とされていますが、上記の登録または認定を受けている場合は、運搬元の許可だけでよい、とされています。これにより、広域での再生利用促進が可能となります。

(2)肥料取締法飼料安全法(法第21条、第22条)

肥料取締法及び飼料安全法においては、製造・販売の届出が必要とされていますが、上記の登録または認定を受けている場合は不要とされています。

【5】今後の動向

(1)自主協定

環境省は、2006年9月12日、株式会社ローソン及び株式会社モスフードサービスと環境保全に向けた自主協定を締結しました。このうち、株式会社モスフードサービスとの協定のなかには、『チェーン全体での食品廃棄物について、2006年度発生量の20%をリサイクルする』ことが盛り込まれています。
自主協定とは、事業者が自主的取組に関する先進的な目標とその実現のための具体的取組を協定に明記し、行政主体が当該取組を支援・周知することにより、取組内容の妥当性確保と目標等の達成に向けた実効性の確保を目指す、という政策手法の一つです。
今回の自主協定は、直接的には容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)の改正(事業者の自主的取組を促進するための措置の導入)に伴い、規制による効果と一体となったトップランナー事業者の取組促進効果を目指して締結されたものですが、その内容の一つに上記の食品リサイクル関連の目標も掲げられていることから、ここで取り上げることとしました。

(2)食品リサイクル制度の見直し

前述の通り、食品リサイクル法は、2001年の法施行後、食品循環資源の肥料・飼料等への再生利用並びに食品廃棄物等の発生抑制及び減量の実施すべき量に関する目標として、2006年度における実施率を20%と定めていますが、その実施率の目標を達成していない食品関連事業者が相当数あり、また、再生利用よりも優先されるべき発生抑制が十分に進んでいるとは言えない状況にあります。

そこで、2006年8月26日、食品リサイクル法附則第2条の「政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」という規定に基づき専門委員会が設置されました。同委員会では、@食品関連事業者等が行う食品廃棄物の発生抑制の促進策に関すること、A食品関連事業者等が行う食品循環資源の再生利用の促進策に関すること、B食品循環資源のエネルギー利用の取扱いに関すること、Cその他食品リサイクル制度の運営に関する検討、について毎月1回の議論を重ね、年末に結論をまとめる予定とされています。

8.使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)  法律

使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)は、2002年月に制定され、2005年1月から本格施行されています。

自動車リサイクル法制定の背景

自動車リサイクル法が制定される以前から、使用済自動車は中古部品や金属回収の観点から価値が高く、国内の自動車解体業者等によって80%程度(重量ベース)がリサイクルされ、残りは主にシュレッダーダストと呼ばれる破砕残さとして埋立処分されてきました。
しかし、自動車リサイクル法が制定された2002年前後は、産業廃棄物の最終処分場の逼迫によるシュレッダーダストの処分費の高騰(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)の1994年改正により、翌1995年から安定型最終処分場にシュレッダーダストを捨てられなくなったことが原因)や、鉄スクラップ価格の低迷により、従来のリサイクル・処理システムがうまく機能しなくなり、費用を支払って使用済自動車を引き取ってもらう逆有償化の現象が生まれ、負担を嫌った業者等による不法投棄が多発し、大きな社会問題となっていました。
そこで、自動車製造業者を中心とした関係者に適切な役割分担を義務づけることにより、使用済自動車のリサイクル・適正処理を図るため、新たなリサイクル制度を構築することを目的として自動車リサイクル法が制定される運びとなりました。
自動車リサイクル法は、以下の4項目を基本的な考え方として設計されています。

@これまで静脈インフラを担ってきた現在の関係事業者の役割分担を前提としつつ、従来のリサイクルシステムが機能不全となる主要因であるシュレッダーダスト、及び新たな環境課題であるフロン類、エアバッグ類への対応を行う。これにより、市場原理に基づいた使用済自動車のリサイクル・適正処理の持続的な取組みの環境整備を図るとともに、自動車製造業者等における適正な競争原理が働く仕組みとする。
A使用済自動車から生じる最終埋立処分量の極小化を図る。
B不法投棄の防止に資する仕組みとする。
C既存制度との円滑な接合を図る(特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律(フロン類回収破壊法)(カーエアコン部分)はその枠組みを基本的に引き継ぎつつ、自動車リサイクル法の中で一体的に扱うこと等)。

また、リサイクル費用は購入時に負担する(施行後の新車)こととされましたが、施行前に販売されたものについては、車検時や廃車時に最終所有者が負担することとされています。原則として特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)と異なり、前払い方式が採用されていますが、当面は市場に出回っている後払い方式の中古車のリサイクルが進められることとなります。自動車の商品特性をみてみると、新車の販売が年600万台程度、使用済自動車となるものが年300万台〜500万台程度、商品寿命は約10年程度とされています。このため、自動車リサイクル制度開始から当面の間は、現在進行中の家電リサイクル法の見直し議論のなかでも問題となっているリサイクル費用後払い方式が不適正処理や不法投棄にどれほどの影響を与えるか、気になるところでもあります。現に、2006年7月の産業構造審議会・中央環境審議会の合同部会では、当初経済産業省が見積もっていた年間使用済自動車数(約500万台)が、実績値と大きく異なったため、一部の委員からこの件に関する疑義がだされた経緯もあります。
また、使用済自動車となったかどうかの判断の困難性も当面の課題であるといえます。国土交通省が所管する道路運送車両法に基づく永久抹消をされれば、間違いなく使用済自動車であるといえますが、いわゆる一次抹消の場合は、中古車として復活する可能性も残されており、市況をみながら使用済自動車とおぼしき車が放置されたり、あるいは不適正処理されたりする可能性がないとは言い切れません。

自動車リサイクル法の本格施行にあわせた道路運送車両法の改正では、不法投棄等の抑制を図るため自動車の解体や中古車輸出といった状況についても国土交通省等が把握することとされました。具体的には、永久抹消登録制度と一時抹消登録制度及び自動車検査証の返納制度を存続させつつ、登録自動車または軽自動車が一時抹消または自動車検査証の返納(使用中止)後に解体されたあるいは中古車輸出がされる場合にその旨の届出を必要とする制度となっており、また、一時抹消登録または自動車検査証の返納を行わずに中古車輸出がされる場合に輸出抹消登録またはその旨の届出を必要とする制度となっています。
また、一次抹消のまま1年以上経過し解体報告も輸出報告も出されていないなどのものについては、『届出をなすべき旨の催告その他の当該自動車に係る自動車登録ファイルの正確な記録を確保するために必要と認められる措置を講ずることができる』とされています。
しかし、一次抹消中の自動車数は膨大な数に上るため、効率的な該当車の見つけ方が議論されているのが現状です。

現在では、鉄の市況が好転したことも重なり、法制定当事とは異なる危惧―@自動車リサイクル法から逸脱した不適正処理の可能性、A輸出をめぐる問題、が今後の重要課題となっていくことは間違いないでしょう。また、自動車リサイクル制度の枠外にある廃タイヤ・廃バッテリー・ガラスなどの3Rの推進も、今後の重要な政策課題であるといえます。

<自動車リサイクル法の概要

【1】対象車種

自動車リサイクル法の対象となる自動車は、次に掲げるものを除く全ての自動車(トラック・バスなどの大型車や、ナンバープレートの付いていない構内車も含む。)とされています。
□被けん引車
□二輪車(原動機付自転車、側車付のものを含む)
□大型特殊自動車、小型特殊自動車
□その他政令で定めるもの
対象となる自動車であっても、保冷貨物自動車の冷蔵装置など取り外して再度使用する装置(商用車の架装物を想定。詳細は政令で規定。)は対象外とされています。
なお、自動車リサイクル法によって使用済となった自動車は、その金銭的価値の有無に関わらずすべて廃棄物として扱われることとされています。

【2】関係者の役割分担(関係者への義務付け)

既存の静脈インフラを最大限に活用することを前提に関係者の役割分担は、以下のように提示されています(複数の機能を有する事業者は、それぞれの登録・許可が必要であることに留意)。

(1)自動車製造業者、輸入業者(自動車製造業者等)

「拡大生産者責任」の考え方に基づき、自らが製造又は輸入した自動車が使用済となった場合、その自動車から発生するフロン類、エアバッグ類及びシュレッダーダストを引き取り、リサイクル(フロン類については破壊)を適正に行う(ここでいう「輸入業者」とは、いわゆる「並行輸入業者」も含む。)。
@認定制度等
□自動車製造業者等は、リサイクルの実施にあたり経済産業・環境両大臣の認定が必要。(大臣認定を受けた自動車製造業者又はその委託を受けてリサイクルを実施する事業者は、廃棄物処理法の業の許可は不要)
□リサイクル義務者が存在しない場合の代行やリサイクル義務履行が難しい小規模業者(その規模は主務省令で規定)からの確実な受託主体として、指定再資源化機関をセイフティーネットとして設置
A行為義務等
□シュレッダーダスト等の再資源化基準に従ってリサイクルを実施(フロン類についてはフロン類破壊業者に委託して破壊)し、実績を公表
□製造・輸入した者の名称等を表示
□電子マニフェスト制度(後述)を利用して、情報管理センターにシュレッダーダスト等の引取報告
□その他再資源化義務の他に以下の責務を規定
□自動車の設計上の工夫によるリサイクル容易な自動車の開発
□円滑なリサイクルのため、自動車の構造・部材に関する情報を提供

(2)引取業者(都道府県知事等の登録制:新車・中古車販売業者、整備業者、直接引取りを行う解体業者等を想定)

自動車所有者から使用済自動車を引き取りフロン類回収業者又は解体業者に引き渡す(リサイクルルートに乗せる入口の役割)。
@登録制
□引取業を行う事業所所在地を管轄する都道府県知事又は保健所設置市の市長の登録制。使用済自動車を業として引き取るには、事業者ごと自治体ごとに登録を受けていることが必要。5年毎の更新
□登録要件は、エアコンにフロン類が含まれているか否かを確認する体制などフロン類回収破壊法に準ずるものとする予定。(フロン類回収破壊法又は廃棄物処理法上の違反による罰金刑や登録取消後2年を経過していないこと等の欠格要件に該当しないことも必要)
□フロン類回収破壊法で第二種特定製品引取業者の登録を受けている事業者は、自動車リサイクル法の引取業者に自動的に移行(フロン類回収破壊法では、事業所ごとの登録であったが、事業者ごとの登録となる)
□自動車リサイクル法上の登録があれば、自動車リサイクル法対象自動車に関しては廃棄物処理法の業の許可は不要
□事業所毎に、事業者名等の事項を記載した標識を掲げる必要あり
A行為義務
□引き取りの際にはリサイクル料金が払い込まれている旨の確認が必要
□自動車所有者から使用済自動車の引取りを求められた場合は、正当な理由がある場合を除き、使用済自動車を引き取る
□引取りを行ったときは、自動車の所有者に引取りの書面を交付
□フロン類が充填されたカーエアコンの搭載の有無を確認し、搭載されている場合はフロン類回収業者へ、搭載されていない場合は解体業者へ引き渡す
□電子マニフェスト制度を利用して、情報管理センターに引取・引渡報告
□使用済自動車の運搬にあたっては、廃棄物処理法の業の許可は不要だが、廃棄物処理基準に従う必要あり。

(3)フロン類回収業者(都道府県知事等の登録制:引取業者や解体業者が兼業することを主として想定)

フロン類を適正に回収し、自動車製造業者等に引き渡す(自動車製造業者等にフロン類の回収費用を請求可能)。
@登録制
□フロン類回収業を行う事業所所在地を管轄する都道府県知事又は保健所設置市の市長の登録制。使用済自動車からのフロン類の回収を業として行うには、事業者ごと自治体ごとに登録を受けていることが必要。5年毎の更新
□登録要件は、適切なフロン類回収設備を有するなどフロン類回収破壊法に準ずるものとする予定(フロン類回収破壊法又は廃棄物処理法上の違反による罰金刑や登録取消後2年を経過していないこと等の欠格要件に該当しないことも必要)
□フロン類回収破壊法で第二種フロン類回収業者の登録を受けている事業者は、自動車リサイクル法のフロン類回収業者に自動的に移行(フロン類回収破壊法では、事業所ごとの登録であったが、事業者ごとの登録となる。)
□自動車リサイクル法上の登録があれば、自動車リサイクル法対象自動車に関しては廃棄物処理法の業の許可は不要
□事業所毎に、事業者名等の事項を記載した標識を掲げる必要あり
A行為義務
□引取業者から使用済自動車の引取を求められたときは、正当な理由がある場合を除き、引き取る
□使用済自動車を引き取ったときは、フロン類回収基準に従ってフロン類を回収し、自ら再利用する場合を除き自動車製造業者等に(指定引取場所において引取基準に従って)引き渡す。自動車製造業者等にフロン類の回収費用を請求可能(フロン類回収破壊法と同様)
□フロン類を回収した使用済自動車は、解体業者へ引き渡す
□電子マニフェスト制度を利用して、情報管理センターに引取・引渡報告(一定期間毎にフロン類の再利用量についても報告)
□使用済自動車の運搬にあたっては、廃棄物処理法の業の許可は不要だが、廃棄物処理基準に従う必要あり

(4)解体業者(都道府県知事等の許可制)

使用済自動車のリサイクル・処理を適正に行い、エアバッグ類を自動車製造業者等に引き渡す(エアバッグ類について、自動車製造業者等に回収費用を請求可能)。
@許可制
□解体業を行う事業所所在地を管轄する都道府県知事又は保健所設置市の市長の許可制。使用済自動車の解体を業として行うには、事業者ごと自治体ごとに許可を受けていることが必要。5年以上の政令で定める期間毎の更新
□許可基準は、生活環境の保全及びリサイクルを適切に実施する能力を担保する観点から設定(廃棄物処理法その他の生活環境保全法令の違反による罰金刑や許可取消後5年を経過していないこと等の欠格要件に該当しないことも必要)
□許可基準の具体的内容は、来春までに審議会で検討を行い、その後速やかに主務省令で決定するが、使用済自動車の流通・処理実態を十分に踏まえ、配慮したものとする予定
自動車リサイクル法上の許可があれば、自動車リサイクル法対象自動車に関しては廃棄物処理法の業の許可は不要
□事業所毎に、事業者名等の事項を記載した標識を掲げる必要あり
A行為義務
□引取業者又はフロン類回収業者から使用済自動車の引取りを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、引き取る
□使用済自動車を引き取ったときは、
□エアバッグ類を回収し、自動車製造業者等に(指定引取場所において引取基準に従って)引き渡す。自動車製造業者等に回収費用を請求可能
□再資源化基準に従って適切な解体を実施
□引き取った使用済自動車又は解体自動車(いわゆる廃車ガラ)は、他の解体業者、破砕業者又は解体自動車全部利用者(電炉に投入してリサイクルを行う電炉業者、スクラップ源として輸出を行う廃車ガラ輸出業者等を想定:確実性を担保するための書類保存義務あり)へ引き渡す
□電子マニフェスト制度を利用して、情報管理センターに引取・引渡報告
□使用済自動車の解体・運搬にあたっては、廃棄物処理法の業の許可は不要だが、廃棄物処理基準に従う必要あり

(5)破砕業者(都道府県知事等の許可制:シュレッダーによる破砕処理、プレス等の破砕前処理を行う業者)

解体自動車(いわゆる廃車ガラ)のリサイクル・処理を適正に行い、シュレッダーダストを自動車製造業者等に引き渡す。

@許可制
□破砕業を行う事業所所在地を管轄する都道府県知事又は保健所設置市の市長の許可制。使用済自動車の破砕又は破砕前処理(プレス及びその他省令で定める行為)を業として行うには、事業者ごと自治体ごとに許可を受けていることが必要。5年以上の政令で定める期間毎の更新
□許可基準は、生活環境の保全及びリサイクルを適切に実施する能力を担保する観点から設定(廃棄物処理法その他の生活環境保全法令の違反による罰金刑や許可取消後5年を経過していないこと等の欠格要件に該当しないことも必要)
□許可基準の具体的内容は、来春までに審議会で検討を行い、その後速やかに主務省令で決定するが、使用済自動車の流通・処理実態を十分に踏まえ、配慮したものとする予定
□自動車リサイクル法上の許可があれば、自動車リサイクル法対象自動車に関しては廃棄物処理法上の業の許可は不要
□事業所毎に、事業者名等の事項を記載した標識を掲げる必要あり
A行為義務
□解体業者又は破砕前処理のみを行う破砕業者から解体自動車の引取りを求められたときは、正当な理由がある場合を除き、引き取る
□解体自動車を引き取ったときは、再資源化基準に従い適切な破砕又は破砕前処理を実施
□破砕前処理のみを行う破砕業者にあっては、前処理を行った解体自動車は、他の破砕業者(破砕処理を行う者)又は解体自動車全部利用者(電炉に投入してリサイクルを行う電炉業者、廃車ガラ輸出業者等を想定。確実性を担保するための書類保存義務あり)へ引き渡す
□破砕業者は、シュレッダーダストを自動車製造業者等に(指定引取場所において引取基準に従って)引き渡す
□電子マニフェスト制度を利用して、情報管理センターに引取・引渡報告
□使用済自動車の破砕・破砕前処理・運搬にあたっては、廃棄物処理法の業の許可は不要だが、廃棄物処理基準に従う必要あり

(6)自動車所有者

使用済となった自動車を引取業者に引き渡す。(中古自動車として引き取り、販売する場合には、使用済自動車にはあたらない。)
自動車の所有者から引取業者への円滑な引渡しを促すため自動車重量税の還付制度を自動車リサイクル法施行時にあわせて導入(電子マニフェスト制度の情報で解体が確認され、改正道路運送車両法上の適切な解体抹消手続がなされた場合、請求に応じて最終所有者に対して車検残存期間に応じた還付を行う)

(7)関係業者の義務違反等に対する担保措置

@登録・許可を有する適正な事業者への引取り・引渡しやリサイクル等の義務を行わない関係事業者については、都道府県知事等の指導、勧告、命令により是正。悪質な事業者は登録/許可取消、罰則
A無登録/無許可業者には罰則

【3】リサイクルに必要な費用について

(1)費用負担方法

@使用済自動車のリサイクル(フロン類の回収・破壊並びにエアバッグ類及びシュレッダーダストのリサイクル)に要する費用に関し、自動車の所有者(自動車を所有する法人も含まれる)にリサイクル料金の負担を求める。各事業者や最終所有者間での使用済自動車の引取・引渡の際の対価の額については、当事者間で決定される。
Aリサイクル料金の負担の時点は、自動車が不法投棄された場合の環境負荷の大きさや、徴収コスト、負担感等を勘案して次のとおり。
□制度施行後販売される自動車については、新車販売時
□制度施行時の既販車については、最初の車検時まで(当初3年間)
□登録・車検を受けることのない構内車等は、使用済となって引取業者に引き渡すときまで
自動車登録ファイルへの登録又は自動車検査証の交付・返付を受けようとする者は、国土交通大臣等に対して、リサイクル料金が預託されていることを証する預託証明書を提示しなければならない。国土交通大臣等は、預託証明書の提示がないときは、自動車登録ファイルへの登録又は自動車検査証の交付・返付をしないものとする。
Bリサイクル料金は予め各自動車製造業者等(輸入業者も対象であることに留意)が定め、公表(リサイクル料金の額は、自動車の大きさや素材の違い等により車種によって変わり得るもの)。これにより自動車製造業者等間の競争が生じ、リサイクル容易な自動車の設計・製造やリサイクル料金の低減が図られることを想定。不適切な料金設定に対しては国が是正を勧告・命令。
あらかじめ支払われたリサイクル料金は、中古車として転売する際には、中古車の本体価格に上乗せされ、次の所有者に引き継がれる実務を想定。このため、国内でリサイクルを行う蓋然性のない中古車輸出の場合には、最終所有者(輸出業者を想定)の申請に応じてリサイクル料金を返還する(確実に中古車輸出されたことを明らかにする証拠が必要)。
中古車輸出の場合には、併せて改正道路運送車両法の輸出抹消手続が必要であることにも留意。

(2)費用管理方法

@自動車製造業者等の倒産・解散による滅失等を防ぐため、リサイクル料金は資金管理法人(第三者機関として指定:財団法人自動車リサイクルセンター)が管理。自動車製造業者等はシュレッダーダスト等のリサイクルにあたり料金の払渡しを請求できることとする。
自動車製造業者等は、解体業者又は破砕前処理業者(精緻な解体等を行うことを前提)に委託して国内の解体自動車全部利用者(電炉事業者等を想定)に引き渡して解体自動車の全部再資源化を行う場合(自動車製造業者等、解体業者、破砕前処理業者、電炉業者等の協同を想定)には、経済産業・環境両大臣の認定を受けることができる。この場合シュレッダーダストを発生させないことになるため、自動車製造業者等は直接シュレッダーダストの処理自体は行わないにもかかわらず、シュレッダーダストに係るリサイクル料金の払渡しを請求することができる(全部再資源化認定スキーム)。

A資金管理法人の裁量権は最小限に抑え、高い透明性・公開性を確保することが大前提。
□資金運用方法の制限、区分経理、消費者代表・学識経験者から成る「資金管理業務諮問委員会」の設置を法定
□監査法人による外部監査を義務付け
□情報公開として事業報告、決算等の公表を法定することに加え、定期的(1年に複数回)に財務状況を公表

(3)余金の扱い

リサイクル料金のうち、輸出中古車につき返還請求がない場合、廃車ガラ輸出によりシュレッダーダストの処理が不要となった場合等に剰余金の発生が見込まれる。この剰余金の使途については、不法投棄対策、離島対策及びユーザー負担の軽減に活用すべく法律で以下のとおり限定。
@不法投棄、野積み対応
廃棄物処理法の措置命令により原因者等の責任を追求の上、自治体が代執行を行った場合、当該自治体に対し資金協力。
路上放棄車については、市町村が代執行によらず処理している事案もあることから、自動車工業会をはじめとした自動車関係業界で構成する「路上放棄車処理協力会」による市町村への資金協力のシステムは存続。
A離島対応
市町村が実施する共同搬出等の取組に対する資金協力。
Bリサイクル料金の安全確実な管理等に必要なコストに充当(自動車の所有者に広く薄く求める負担の軽減)
Cなお一定金額以上の剰余金がある場合、将来ユーザーのリサイクル料金を割引。

【4】電子マニフェスト制度(情報管理システム)の導入

@電子マニフェスト(移動報告)制度を導入し、使用済自動車が各段階の事業者間で適切に引取り・引渡しされていることを確認できる情報管理システムを構築。
A具体的には、登録・許可を得ている各関係業者が使用済自動車等の引取り・引渡しを行った際、一定期間内にその旨を情報管理センター(第三者機関として指定:既存の公益法人の活用を想定。)に報告する制度(車台番号がキー概念)とし、情報管理センターがマニフェスト情報を一元的に管理。
B情報管理センターへの関係事業者からの報告は、可能な限り簡便なものとしつつ、原則パソコン等による電子情報で対応することとする。
例外的に電子情報化対応できない業者について、代行入力に必要な費用にあてる。料金負担を前提に紙での報告も可能とするものの、各事業者の事務の効率性に鑑みれば電子情報での対応に利便性があると考えられる。
C情報管理センターへの報告が一定期間内に行われなかった場合、情報管理センターは最後の報告を行った業者に通知し、状況確認を求める。さらに一定期間内に報告がない場合、その旨を登録・許可権者である都道府県知事又は保健所設置市の市長に報告することにより、適正な引取り・引渡しを担保。また、マニフェスト報告の情報は、自動車製造業者等へのリサイクル料金の払渡しを行うための確認としても必須のもの。

【5】2006年施行規則の改正(経済産業省・環境省令第9号/平成14年経済産業省環境省令第7号の一部改正)

(1) 自動車製造事業者等の再資源化の認定の申請、引取業者及びフロン類回収業者(引取業者等」)の登録の申請並びに解体業者及び破砕業者の許可の申請等に係る提出書類について、下記の2点が加えられました。

@標記の申請(変更の許可又は届出の場合を含む。)を受けた都道府県等が、使用済自動車の再資源化等に関する法律第127条に基づき、申請者の本籍がある市町村に対し、当該申請者の欠格要件に該当する事由の有無の照会を行うことができるよう、申請時の提出書類の一つである住民票の写しについて、本籍の記載を要することを明確化すること
A上記@と同様の理由から、引取業者等が行う登録の申請又は変更の届出の際に、引取業者等が法人である場合において、関係する役員の住民票の写しの提出を新たに求めることとすること

(2) 「再資源化預託金等の取戻し(則第76条)」に際しての添付書類について

再資源化預託金等の取戻し(法第78条第1項)について、省令第76条第2項で規定する添付書類として、これまで規定していた船荷証券の写しに代わるものとして、当該自動車の船舶による運送契約に関する書類(当該自動車の車台番号の記載のあるものに限る。)も認めることとされました。

(3)公布・施行

本改正は、2006年9月29日に公布され、2006年10月1日から施行されています。

<自動車リサイクル法制度外の課題

【1】廃タイヤ

廃タイヤは、野積による不適正保管や自然発火による火災など、だいぶ以前から社会問題となっており、その行政対応について2000年7月24日に環境省から2本の通知が出されています(平成12年7月24日衛環65号及び衛産95号)。そのなかで、廃タイヤの定義及び占有意思等の判断基準が次のように明示されています。

(1)定義(平成12年7月24日衛環65号

@廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断すべきものであること
A占有者の意思とは、客観的要素からみて社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思であること。
B占有者において自ら利用し、又は他人に有償で売却することができるものであると認識しているか否かは、廃棄物に該当するか否かを判断する際の決定的な要素になるものではないこと。
C占有者において自ら利用し、又は他人に有償で売却することができるものであるとの認識がなされている場合には、占有者にこれらの事情を客観的に明らかにさせるなどして、社会通念上合理的に認定し得る占有者の意思を判断すること。
D使用済みタイヤが廃棄物であると判断される場合において、長期間にわたりその放置が行われているときは、占有者に適正な保管であることを客観的に明らかにさせるなどして、客観的に放置の意思が認められるか否かを判断し、これが認められる場合には、その放置されている状態を処分として厳正に対処すべきこと
本通知では、@の通り、いわゆる総合判断説を引用しつつも、BCにあきらかなように、有償に関する客観的証拠を求めています。そして、この証拠等は次のように記述されています。

(2)占有意思等の判断基準(平成12年7月24日衛産95号

@前記通知((1)C)における占有者に明らかにさせる事情としては、次のいずれかを挙げることができること
□溝切り等を行いタイヤとして利用する、土止め、セメント原料又は燃料として利用するなど使用済みタイヤを自ら利用するものであって、これらの目的に加工等を行うため速やかに引渡しを行うことを内容とし、かつ履行期限の確定した具体的な契約が締結されていること
□上記のとおり利用するために、使用済みタイヤを他人に有償で売却するものであって、これらの目的のため速やかに引渡しを行うことを内容とし、かつ履行期限の確定した具体的な契約が締結されていること
A前記通知((1)D)における「長期間にわたりその放置が行われている」とは、概ね180日以上の長期にわたり乱雑に放置されている状態をいうものであること
B前記通知((1)D)における占有者に明らかにさせる事情としては、次のいずれかを挙げることができること
□溝切り等を行いタイヤとして利用する、土止め、セメント原料又は燃料として利用するなど使用済みタイヤを再生利用するものであって、これらの目的に加工等を行うため速やかに引渡しを行うことを内容とし、かつ履行期限の確定した具体的な契約が締結されていること
□上記のとおり再生利用するために、使用済みタイヤを他人に有償で売却するものであって、これらの目的のため速やかに引渡しを行うことを内容とし、かつ履行期限の確定した具体的な契約が締結されていること
つまり、有償売買契約の具体的な締結が証拠であり、保管の期間は180日がリミットということになります。しかし、現実には、号外でも紹介した通り、有価物か廃棄物かの判断は行政にとっても困難であるといえるでしょう。
なお、現在は、石油・石炭の値上がりが影響して、バイラーの燃料として廃タイヤチップはまずまずの価格で取引されている状況です。受け入れ先もセメント会社主流から製紙会社も含めた幅広くなりつつあることから、当面は需要が続くものと思われます。

【2】廃バッテリー

自動車、二輪車、農業機械、建設機械、小型船舶等のエンジン式の機器の始動・点灯・点火などに使用される鉛蓄電池(自動車用バッテリー)は、年間2,500万個程度が国内市場に投入されています。一方、自動車用バッテリーが使用済みになった場合には、鉛や硫酸を含むことから他の廃棄物と比べ処理が困難であり、従来から市町村での処理が行われてきませんでした。
現在の自動車用バッテリーリサイクルシステムは、厚生省及び通商産業省(当時)の要請に基づき、1994年10月から国内バッテリー製造事業者が自主的に再生鉛を購入することで、回収・リサイクルする仕組みとして構築されてきました。しかしながら、近年における輸入製品の増大、鉛相場下落時における不法投棄の懸念の増大から、現在の仕組みを将来にわたり維持していくことが困難となりつつあり、回収・リサイクルシステムの再構築が必要な状況となってきました。
このような背景から、持続可能な社会の形成や環境の保全に資する継続的・安定的な自動車用バッテリーの回収・リサイクルシステムを構築し、関係主体が果たすべき役割や実効性を確保するための方策等について検討を行うため、産業構造審議会環境部会廃棄物・リサイクル小委員会電気・電子機器リサイクルワーキンググループの下に自動車用バッテリーリサイクル検討会が、また、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会の下に自動車用鉛蓄電池リサイクル専門委員会が設置され、2005年5月から両審議会合同による検討が重ねられ、2005年8月11日に『自動車用バッテリーの回収・リサイクル推進のための方策について(報告書案)』がとりまとめられ、パブリックコメントを経て、12月、報告書(PDF)として公表されています。

(1)見直しの方向性

同報告書(PDF)においては、国内バッテリー製造事業者による自主的な回収・リサイクルの取組は、これまで一定の実効性・機能性を有してきたものの、以下の課題があると整理しています。
@輸入バッテリーの販売比率の増大(四輪車補修用バッテリーの輸入販売比率、1994年度約8.3%、2003年度約13.2%)等により、現在の自主的な回収・リサイクルシステムでは再資源化が担保されていない自動車用バッテリーが増加してきていること
A鉛相場の下落時などには、一部の地域で使用済バッテリーの逆有償化が進み、回収が停滞する事態が発生するなど、路上放置や不法投棄の懸念が増大してきていること
上記の課題整理から、国内バッテリー製造事業者の自主的な取組による回収・リサイクルシステムの実効性の確保が困難となりつつあるため、回収・リサイクルの停滞による使用済バッテリーの不法投棄等の問題が顕在化する前に見直しを行う必要がある、とし、新たな制度設計を(2)のように提言しています。

(2)システム再構築の制度設計

自動車用バッテリーを取り巻く現状や流通実態等を踏まえ、回収・リサイクルシステムの再構築に当たっては、以下のような視点や措置が必要
@システム再構築に当たっての基本的考え方
□新しいシステムの基本的在り方:自動車用バッテリーの回収・リサイクルシステムの再構築に当たっては、現在の国内バッテリー製造事業者による自主的な回収・リサイクルシステムの維持が困難となりつつある要因を踏まえ、鉛や硫酸による環境汚染の防止や鉛という有害・有用物質を含むものの適切な回収・リサイクルを目的として、以下の要素を備えたシステムを構築する必要がある。
□輸入バッテリーを含む国内に投入される自動車用バッテリーの回収・リサイクルの実効性が確保されるシステム
□鉛相場の影響を受けない継続的・安定的なシステム
A不法投棄等の防止
□自動車用バッテリーは小型で比較的持ち運び易い製品であることから、排出時に費用を徴収する方法は不法投棄につながるおそれがあり、また、自治体の一般廃棄物と一緒に排出される可能性もあることなどから、自動車用バッテリーの関係者に対しては使用済バッテリーを無償で回収する取組を求めていくべき
□新しいシステムの開始後数年間において回収対象の多くを占めると考えられる既販の自動車用バッテリーについても、不法投棄防止のため、無償で回収することにより、実効性が確保できる仕組みを構築することが必要
新たな制度設計については、現在、関連する各業界のすり合わせが行われている段階であり、今後の議論の進展に期待したいと思います。

(3)現状の問題点 鉛価格の国際的高騰

近年、鉛の国際価格高騰に伴い、使用済鉛バッテリーが中古利用名目でベトナムや香港等に大量に輸出されています。しかし、これまでに環境省が行った調査では、我が国から輸出された使用済鉛バッテリーがベトナムや香港で中古利用されている実態はほとんど確認されておらず、それらはリサイクルされているおそれがある、とされています。
リサイクル又は最終処分の目的で輸出入される使用済鉛バッテリーは、有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分に関するバーゼル条約(バーゼル条約)及び特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(バーゼル法)によって輸出入が規制されています。バーゼル条約では、輸出国は、輸入国等に規制対象物を輸出する旨を通告し、輸入国等からの同意回答がない限り、輸出を許可することができないとされています。このため、バーゼル法では、規制対象物を輸出する場合には、輸出者は経済産業大臣の輸出承認を受けることが義務づけられています。
環境省の調査結果通り、使用済鉛バッテリーが中古利用名目で輸出された後に輸出先国等でリサイクルされた場合には、経済産業大臣の輸出承認を有していないためバーゼル法等の違反として輸出者等が罰せられるほか、バーゼル条約で認められていない不法輸出に当たるため、国際問題に発展するおそれがあります。また、使用済鉛バッテリーは鉛や硫酸の有害物を含有するため、途上国において未熟な技術によりリサイクルされた場合、環境汚染等を引き起こすことも懸念されます。
このため、経済産業省及び環境省では、リサイクル目的の使用済鉛バッテリーが中古利用名目で輸出されることのないよう、事前相談時に使用済み鉛バッテリーが輸出先国において確実に中古利用されることの詳細確認を行うこととされ、以下の書類の提出が義務づけられています。
@中古利用が可能なものを収集・選別していること(収集及び選別方法の説明)
A外観に破損がないこと(写真)
B輸出前に全量の通電検査を行っていること及び通電しないものは除去されていること(通電検査方法及び検査結果の説明(メーカー、型式、製造年及び測定結果等)及び写真)
C屋内で適切に保管がなされていること(保管方法の説明及び写真)
D適切に梱包・積載されていること(梱包・積載方法の説明及び写真)
E輸出先国の販売店等の名称、住所及び写真

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