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環境法令管理室_テーマ別法令主要改正解説

エネルギー政策

1.エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法) 法律

省エネ法は1979年に制定されましたが、1993年改正において目的が『内外におけるエネルギーをめぐる経済的社会的環境に応じた燃料資源の有効な利用の確保に資するため、工場、輸送、建築物及び機械器具についてのエネルギーの使用の合理化に関する所要の措置その他エネルギーの使用の合理化を総合的に進めるために必要な措置等を講ずることとし、もつて国民経済の健全な発展に寄与すること』に改正されたことにより、現在の法体系へとつながっていくことになります。

1998年改正では、@工場・事業場におけるエネルギー使用の合理化の徹底、A地球温暖化につながる自動車・家庭電器製品等の機器に関する燃費基準・省エネ基準の目標値の強化、が図られました。

具体的には、前年度のエネルギー使用量が原油換算で3,000キロリットル以上または電力使用量1,200万キロワット/時間以上の工場・事業場を第1種エネルギー管理指定工場に、同じく1,500キロリットル以上または600万キロワット/時間以上の工場・事業場を第2種エネルギー管理指定工場に指定し、第1種エネルギー管理指定工場にはエネルギー管理員の選任及び計画の策定・提出が、第2種エネルギー管理指定工場にはエネルギー管理員の選任が義務付けられています。
また、2002年改正においては、第1種エネルギー管理指定工場の対象業務の限定を解いて大規模オフィス等も指定対象とするとともに、第2種エネルギー管理指定工場に対してもエネルギー使用量等の定期報告が義務付けられています。
さらに、2,000平方メートル以上の非住宅建築物の建築主に対して、新築・増改築時に、省エネ措置に係る事項を都道府県知事等へ届出ることが義務化されました。

2005年には、8月26日の記事に記したように温暖化対策をより実効性の高いものとするために、荷主への規制を含めた運輸部門への規制を中心とする強化されました。
具体的には、第1に工場・事業場に係る措置として、@エネルギー管理指定工場の指定について、従前の熱と電気の区分を廃止し、熱と電気を合算した使用量が一定以上(第1種3,000kl以上、第2種1,500kl以上)の工場・事業場を指定、A指定に際しては、既に指定されていた工場・事業場も含め、改正法施行後改めて、エネルギー消費等の報告(エネルギー使用状況届出書)の提出義務(平成18年4月末までに地方経済産業局へ)、B第1種エネルギー管理指定工場(第1種指定事業者が設置するものを除く)については、熱と電気両方の専門的知識を備えたエネルギー管理士の資格保持者の選任とその届出、C第1種指定事業者が設置している第1種エネルギー管理指定工場、及び第2種エネルギー管理指定工場については、熱と電気両方の知識に関する講習を受講したエネルギー管理員の選任とその届出が求められこととなりました。

第2に荷主に係る措置として、@自らの事業活動に伴って委託あるいは自ら輸送している貨物の輸送量が3,000万トンキロ以上の事業者(全業種対象)を特定荷主として指定し、毎年度、定期報告書及び計画書の提出、A特定荷主に該当する場合には、トンキロの報告(輸送量届出書)を平成19年4月末までに地方経済産業局へ提出(まずは、平成18年4月1日から、自社の輸送量(トンキロ:平成18年度実績)の把握)が規定されました。

第3に輸送事業者に係る措置として、@国内の各地間において、他人又は自らの貨物を輸送している者及び旅客を輸送している者のうち、輸送区分ごとに保有する輸送能力が一定基準以上(鉄道300両、トラック200台、バス200台、タクシー350台、船舶2万総トン(総船舶量)、航空9千トン(総最大離陸重量))である者を特定輸送事業者として指定し、毎年度、省エネ計画及び定期報告の提出、A特定輸送事業者に該当する場合には、平成17年度末の輸送能力を地方運輸局へ提出、が求められました。

第4に住宅・建築物に係る措置として、@床面積2,000u以上の非住宅建築物を新築・増改築する場合の都道府県等への省エネルギー措置の届出に、外壁等の大規模修繕・模様替や設備の設置・大規模改修を行う場合が追加、A床面積2,000u以上の住宅についても、非住宅建築物と同様に、新築・増改築、大規模修繕等を行う場合に、都道府県等への届出が必要、B平成15年4月以降に届出を行った建築物については、定期的に省エネルギー措置に関する維持保全の状況を都道府県等に報告することが必要、とされました。

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2.新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ利用促進法) 法律

新エネ利用促進法は、1997年に制定されました。同法において「新エネルギー」とは、「技術的に実用化段階に達しつつあるが、経済性の面での制約から普及が十分でないもので、石油代替エネルギーの導入を図るために特に必要なもの」と定義されています。つまり、実用化段階に達した水力発電・地熱発電などは自然エネルギーであっても新エネルギーには指定されていません。
具体的には、太陽光発電風力発電太陽熱利用温度差エネルギー廃棄物発電・廃棄物熱利用・廃棄物燃料製造・クリーンエネルギー自動車・天然ガスコージェネレーション燃料電池が新エネルギーとされており、2002年の政令改正により、バイオマス発電・バイオマス熱利用・バイオマス燃料製造・雪氷熱利用が加えられています。

これらの新エネルギーは、@CO2の排出が少ない等環境へ与える負荷が小さいという特徴を有するもの、A資源制限が少ない国産エネルギー・石油依存度低下に資する石油代替エネルギーとしてエネルギーの安定供給の確保に資するもの、に大別できます。
いずれにせよ、地球環境問題への対応に貢献でき、持続可能な経済社会の構築に寄与するなど様々な意義を有しているエネルギーであるといえます(環境法令ウオッチングでも、廃棄物熱利用の一例として、廃タイヤチップによるサーマルリサイクルについての記事を紹介しました)。つまり、新エネルギーの活用は、資源の有効活用・温室効果ガスの削減など、総合的な視点からオゾン層保護や地球温暖化防止を推進する役割を期待されているといえるでしょう。

新エネ利用促進法は以下の通り構成されています。

経済産業大臣が新エネルギー利用等の促進に関する基本方針を策定・公表(第3条)

@ 新エネルギー利用等を促進するために政府が講ずべき施策
Aエネルギー使用者(国民及び事業者)が講ずべき措置
Bエネルギー供給事業者(電力会社等)が講ずべき措置
C太陽光発電システム等の機械器具の製造・輸入事業者が講ずべき措置)

努力義務の明確化(第4条)

基本方針を踏まえ、エネルギー使用者、エネルギー供給事業者及び製造・輸入事業者が、新エネルギー利用等の促進のために努力する責務を規定

新エネルギー利用指針の策定・公表及び指導・助言(第5条、第6条)

新エネルギー利用等のための具体的方法等をまとめたガイドライン(指針)を策定・公表。必要に応じて主務大臣がエネルギー使用者に指導・助言を行う。

地方公共団体の施策における配慮(第7条)

地方公共団体は、地域における新エネルギー利用等の促進に資する施策の策定・実施に当たっては、基本方針に配慮する旨規定。

新エネルギー利用等を行う事業者への支援措置(第8条)

新エネルギー利用等を行う事業者の計画(利用計画)を主務大臣が認定し、金融上の支援措置等を講ずる。
※事業者の例
・風力発電を利用した売電事業に新規参入する者
・太陽光発電システムを工場の遊休スペースに設置する事業者
・廃棄物を利用して売電、熱供給又は燃料製造を行う事業者

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3.電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(新エネ利用特措法、RPS 法) 法律

本法は、2002年に制定されました。対象となる新エネルギーを、@風力 、A太陽光 、B地熱 、C水力(政令で定めるものに限る。具体的には、水路式の1000kW以下の水力発電)、Dバイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。)をいう。)を熱源とする熱 、E@からDのほか、石油(原油及び揮発油、重油その他の石油製品)を熱源とする熱以外のエネルギーであって、政令で定めるもの、の6つとしたうえで、電気事業者(一般電気事業者:東京電力、関西電力などの電力10社、特定電気事業者、新規参入のPPS事業者)に対して、毎年度、その販売電力量に応じて一定割合以上の新エネルギーから発電される電気(新エネルギー等電気)の利用を義務付けている点が大きな特徴です。

電気事業者は、@自ら新エネルギーによって発電する、A他から新エネルギー等電気を購入する、B他から新エネルギー等電気相当量(法の規定に従い電気の利用に充てる、もしくは、基準利用量の減少に充てることができる量)を購入する、ことにより、上記義務を果たすこととされており、正当な理由なく義務を履行しない場合には、経済産業大臣から、義務を履行すべき旨の勧告、又は命令を受け、命令に違反した場合には、100万円以下の罰金に処される旨、既定されています。

新エネルギーの利用目標は、2010年度に122億kWhとされています。これは、全電力販売量の1.35%に相当しますが、欧州に比べて決して高い数値とはいえないため、この目標値をめぐっては議論があるところです。

本法は、全面施行から3年が経過したことから、既定に基づき2006年5月に総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会RPS法評価検討小委員会によって報告書が取りまとめられました。
そのなかで、施行から3年間の状況として、「平成15年度(2003年度)の新エネルギー等の総供給量は約40.6億kWh、平成16年度(2004年度)は約49.1億kWhであり、すべての電気事業者が義務量を達成した。平成16年度は、義務量に対して約21億kWhの超過となった。法施行から3年目となる平成17年度(2005年度)は、義務量が38.3億kWhのところ、平成16年度にバンキングされた約21億kWhが繰り越され、年度開始時点で既に義務量の約半分が達成されていることとなる」と報告されています。
順調に義務履行がなされているともいえますが、バンキング(繰越)量などをみると、目標設定が低かったのではないかとも思えます。

本報告書では今後の対応として、@平成18年度(2006年度)から平成21年度(2009年度)までの義務量の上方修正(ただし、平成22年度(2010年度)の義務量は変更なし)、A政府が現在実施している新エネルギー価格調査の頻度等を見直し、価格情報の提供の実施、B長期エネルギー需給見通しの作成時において、RPS法で対象とされる新エネルギー等の電力分野における導入量提示の検討、Cバイオマス由来のガスを用いて燃料電池により発電された電気を新エネルギー等電気としてRPS法の義務対象エネルギーに加えることの検討、D水力発電及び地熱発電の対象範囲について平成26年度(2014年度)までの利用目標量設定作業に併せて再検討、E政府による、企業の新エネルギーの取組、グリーン電力証書やグリーン電力基金といった民間による新エネルギーの促進プログラムについての情報提供や広報の充実、F政府による、太陽光発電を設置している電力需要家に対するRPS法の趣旨・制度について広報の充実、が掲げられています。

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4.流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律(物流総合効率化法) 法律

本法は、@産業の空洞化に歯止めをかけ、わが国の国際競争力を強化するため、総合的・効率的物流システムの構築が急務であること、A京都議定書の発効にともない、運輸部門における温暖化効果ガス(二酸化炭素)排出量の削減が急務であること、B土地の機能的活用等による地域経済活性化の観点から物流拠点整備へのニーズが高まっていること、を背景として、2005年に制定されました。
温暖化防止との関わりからすると、A京都議定書の発効にともない、運輸部門における温暖化効果ガス(二酸化炭素)排出量の削減が急務であること、が重要となります。

本法では、まず主務大臣が、荷主と物流事業者が連携して行う横断的輸送・保管業務や中小企業者による共同物流等の総合的・効率的事業で環境負荷低減に資する「流通業務総合効率化事業」の実施方法等に関する基本方針を策定します。
そして、流通業務総合効率化事業を実施しようとする者は、流通業務総合効率化計画を策定し、基本方針に適合しているかどうかの主務大臣による認定を受けることになります。
認定を受けることができると、@倉庫業・貨物自動車運送事業・貨物利用運送事業の許可の一括取得、A物流拠点施設に関する租税特例(法人税・固定資産税)、B立地規制の配慮(市街化調整区域における施設設備の開発許可の配慮)、C資金面等の支援(中小企業信用保険の保険限度額の拡充、食品流通構造改革促進法の特例による債務保証等)、D政策金融(中小企業金融公庫等による低利融資)、などの各種支援措置を受けることが可能となります。

2006年2月24日に国土交通表が公表した「物流総合効率化法の概要と認定基準・手続き・事例」によると、2006年2月17日現在で、認定件数は17件となっており、「多頻度小口で納入先に配送している部品メーカーが、企業の壁を超えた共同配送、情報技術の活用、流通加工の実現、モーダルシフト、ハイブリッド車の導入等により、高積載率で更なるジャストインタイムでの輸送を実現し、物流の効率化及び環境負荷の低減を図る」事例では、二酸化炭素排出量にして約24%の削減がなされている、と報告されています。

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