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産業廃棄物管理票(マニフェスト)
Index
基礎知識(直行用)基礎知識(直行用)
1.排出事業者が記入するA票
(1)A票の記載は排出事業者が実施
マニフェストのA票は、本来、排出事業者が記入し、廃棄物と同時に収集運搬業者に交付するものとされています。しかし、実際には、委託契約先である収集運搬業者が必要事項を印字したマニフェストを使用していることが多いのが現状です。その場合、少なくとも、印字されている内容が正しいかどうか、契約書(又は契約書をもとに作成したチェックリストなど)を元に確認することが不可欠です。このチェックは、記載事項の正確性だけでなく、E票まできちんと印字されているかどうかの確認も含めて実施します。
(2)A票の法定記載事項
A票の法定記載事項は、以下の13項目とされています。
@管理票の交付年月日及び交付番号
全国産業廃棄物処理連合会が発行するマニフェストを使用する場合には、あらかじめ交付番号が印刷されているので、新たに記載する必要はありません。交付番号の横にある整理番号は、管理票交付者が自らの管理方法により自由に記載できます。もちろん、記載しなくても何ら問題ありません。
A管理票交付担当者の氏名
管理票交付担当者の氏名とは、事業者の氏名又は名称ではなく、実際に管理票の交付を担当した従業者の氏名を記載すること、とされています。なお、この欄への押印は必ずしも必要とはされていません。
B(排出事業者の)氏名又は名称及び住所
氏名又は名称は、商号を、住所は本店所在地を記入します。
C産業廃棄物を排出した事業場の名称及び住所
実際に産業廃棄物を排出した工場等の名称及び住所を記載します。
D産業廃棄物の種類
法第2条第4項及び令第2条に規定する産業廃棄物の種類を原則とし、特別管理産業廃棄物である場合にはその旨を記載しなければならなりません。全国産業廃棄物処理連合会が発行するマニフェストを使用する場合には、該当する種類にチェックを入れることになります。なお、石綿含有産業廃棄物が含まれている場合には、別途、その旨を記載します。
E産業廃棄物の数量
A票の記載で忘れがちなのが、産業廃棄物の数量です。この欄への記載は交付の時点でなされていることが必要であり、回付されたB2票以下を参考に後で記載することは違反行為となります。ただし、記載する数量は必ずしも厳密なものでなくともよく、概ね合致すればよいとされています。なお、重量、体積、個数などその単位系は限定されていません。
F産業廃棄物の荷姿
バラ、ドラム缶、ポリ容器など具体的な荷姿を記載します。
G当該産業廃棄物に係る最終処分を行う場所の所在地
全国産業廃棄物処理連合会が発行するマニフェストを使用する場合には、『委託契約書通り』の欄にチェックをします。また、「最終処分」とは、埋立処分、海洋投入処分又は再生をいうことから、委託した産業廃棄物について中間処理後に一部分が再生され、その余の部分が埋立処分される場合には、再生処理施設と最終処分場のいずれも記載しなければならないこと、とされています。
H運搬を受託した者の氏名又は名称及び住所
収集運搬の委託契約を締結した収集運搬業者の氏名又は名称及び住所を記載します。
I運搬先の事業場の名称及び住所
実際に処分を行う事業場の名称及び住所を記載します。
J処分を受託した者の氏名又は名称及び住所
収集運搬の委託契約を締結した収集運搬業者の氏名又は名称及び住所を記載します。
K運搬を受託した者が産業廃棄物の積替え又は保管を行う場合には、その積替え又は保管を行う場所の所在地
積替え又は保管を行う場合にのみ記載します。
L石綿含有産業廃棄物が含まれる場合はその数量
石綿含有産業廃棄物が含まれる場合はその数量を、別途、記載します。
(3)収集運搬業者への交付
記載が終了したマニフェストは、委託する産業廃棄物と同時に収集運搬業者へ引き渡します。その際、収集運搬業者が受託のサインを記載しますが、その確認も大切な事項です。もし、委託契約先と異なる業者が引き取りにきているようなことがあれば、再委託となり排出事業者が書面で了解していない以上、違法行為となります。
(4)A票の保管義務
廃棄物処理法上、排出事業者が5年間保存すべきものは、B2、D、E票とされており、A票自体には保存の義務はありません。
しかし、もともとの起点となるのはA票ですので、回付されたB2、D、E票とともに時系列に保管しておいたほうが、管理上も利点が多くよいと思います。
2.回付されたB2、D、E票の確認事項
(1)B2の回付と確認事項
B2票は、収集運搬の終了を確認するものです。回付された時点で記入されていなければならない事項は、@運搬終了年月日、A処分会社名、B処分担当者名、C受領印、(D有価物拾集量)とされています。また、B2票は交付日から90日(特別管理産業廃棄物の場合は、60日)以内、かつ、運搬終了日から10日以内に返送されている必要があります。
ここでの注意点は、上記の項目が正確に記載されていることと、不要な事項が記載されていないか、という点です。処分会社については当然、委託契約先に間違いないか確認を要しますし、引渡しから運搬終了日の期間が必要以上に多い場合には、その理由を確認するなどしておいたほうがよいと思われます。
(2)D票の回付と確認事項
D票は中間処理の終了を確認するものです。回付された時点で記入されていなければならない事項は、処分終了年月日です。また、D票は交付日から90日(特別管理産業廃棄物の場合は、60日)以内、かつ、処分終了日から10日以内に返送されている必要があります。 ここでの注意点は、上記の項目が正確に記載されていることと、不要な事項が記載されていないか、という点です。処分会社については当然、委託契約先に間違いないか確認を要します。
(3)E票の回付と確認事項
E票は最終処分の終了を確認するものです。回付された時点で記入されていなければならない事項は、@最終処分終了年月日、A最終処分を行った場所の所在地、です。また、E票は交付日から180日以内、かつ、2次マニフェストE票の返送日から10日以内に返送されている必要があります。2次マニフェストE票の返送日は、排出事業者には確認できませんので、最終処分終了年月日から20日以内に返送されているかどうかを目安にするとよいと思います(最終処分業者から中間処理業者へのE票の返送が10日以内、そこから10日以内の返送を目安とする)。
ここでの注意点は、上記の項目が正確に記載されていることと、不要な事項が記載されていないか、という点です。最終処分を行った場所の所在地については当然、委託契約書に記載された場所と間違いないか確認を要します。
焼却による中間処理をし、その焼却灰を最終処分する場合、どの焼却灰がどの排出事業者のものであるか、実際には区別することは困難です。中間処理業者は、自らの処理施設の能力と最終処分場の受入量を勘案して、2次マニフェストを交付していく場合がほとんどですので、中間処理終了日から最終処分終了日の間隔がある程度開いている場合もあると思います。しかし、前述したように排出事業者がマニフェストを交付してから180日以内に返送されない場合には、マニフェストの措置内容等報告書を作成する必要が生じますので、注意が必要です。
なお、中間処理業者が焼却灰などを最終処分場へ自ら運搬する場合には、収集運搬の許可必要とされています。中間処理業者との委託契約の際には、その点につきあらかじめ確認をしておくことが、排出事業者のリスクヘッジとして重要であると思います。
3.マニフェストをめぐる各種報告書
(1)マニフェストの措置内容等報告書
管理票交付者は、B2票、D票につき90日(特別管理産業廃棄物の場合は60日)、E票につき180日以内に、管理票の写しの送付を受けないとき、又はこれらの規定に規定する事項が記載されていない管理票の写し若しくは虚偽の記載のある管理票の写しの送付を受けたときは、速やかに当該委託に係る産業廃棄物の運搬又は処分の状況を把握するとともに、生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずるとともに、上記の期間が経過した日から30日以内に、報告書(則様式第4号)を都道府県知事に提出するものとする、とされています。
この規定は、報告書の作成・報告だけではなく、状況の確認及び生活環境の保全上の支障の除去又は発生の防止のために必要な措置を講ずることを求めるものとなっている点に注意が必要です。報告書の作成はともかく、支障の除去などの措置は費用も発生することから、マニフェストの返送期間が迫ってきた段階で収集運搬業者、処分業者に確認をとり、必要があればその段階で自治体へ相談するほうがよいと思います。そのためには、マニフェストの流れを絶えずチェックできる体制や仕組を整えておく必要があるといえます。
(2)マニフェスト交付状況等報告書
前述の通り、平成20年6月30日からの報告が義務化されました。この規定は、産業廃棄物の排出量やマニフェストの交付枚数などに関係なく適用されます。すなわち、電子マニフェスト制度を導入している場合以外は、たった1枚でもマニフェストを交付した場合には、マニフェスト交付状況等報告書の作成・報告が必要となります。
未提出の場合の罰則規定等は、現在のところ規定されていませんが、自治体によっては条例等において先行した制度を適用し、公表・勧告などの規定を置いているところもあります。いずれにせよ、マニフェストの管理については、組織的な体制と仕組が求められていることに留意する必要があるといえるでしょう。
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