ISO14001情報ステーション
環境法令管理室_テーマ別法令主要改正解説

オゾン層の保護

1.特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)法律

オゾン層保護法の規制の対象とされたクロロフルオロカーボン(CFC)は、日常生活のなかでスプレーの噴射剤、冷蔵庫やクーラーの冷媒、発泡スチロールの発泡剤、精密機器の部品の洗浄剤として広く活用されていました。CFCがここまで活用された理由は、@化学的に安定した物質であること、A沸点が低く冷媒としても優れていること、B電気絶縁性にも効果があること、C何よりも低毒性な物質であること、によります。

しかし、使用後に大気に放出されたCFCは対流圏では分解去れず、成層圏オゾン層まで到達し、強い紫外線によって分解され、塩素原子を放出し、それによってオゾン層が破壊される、ということが判明したことにより、国際的には1985年のウイーン条約、1987年のモントリオール議定書へとつながっていきました。

そして、国内の取組としては1988年に『国際的に協力してオゾン層の保護を図るため、オゾン層保護のためのウイーン条約及びオゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書の的確かつ円滑な実施を確保するための特定物質の製造規制、排出規制及び使用の合理化に関する処置を講じることにより、人の健康保護、生活環境の保全に資すること』を目的としてオゾン層保護法が制定されました。

オゾン層保護法の構成は、以下の通りでした。

委託する産業廃棄物の種類及び数量

@環境庁長官・通産大臣(現環境大臣・経済産業大臣)は条約・議定書に基づいて、生産量・消費量の実績と守るべき基準限度を公表する(法第3条)
A 個別製造業者は毎年製造予定量などを申請し、通産大臣(現経済産業大臣)が右の基準限度を超えないようこれに許可を与える(法第4条、5条の2、7条)
B 輸出数量は指定(法第5条)
C輸入については承認が必要(法第6条)

フロンガスの排出抑制・使用合理化

@当面、現在有るフロンガスを大気中にこれ以上放出しないように努力する
Aスプレー製品はその性質上どうしても噴射してしまうのでフロンを使用しないよう努めるとともに、溶剤・冷媒など循環して用いられるものはできるだけ漏れをなくし、再生処理や代替品の活用、使用量の節約をはかる(法第19条)
Bそのための指針を、環境庁長官・通産大臣<現在は、環境大臣・経済産業大臣>が公表する(法第20条、1989年1月4日告示)

科学的観測・研究とその公表

@オゾン層の状況・フロン濃度などについて観測し、その結果を公表する(法第22条)とともに、研究を推進する(法第23条)

その後、1991年改正では、モントリオール議定書の改正を受け1.1.1−トリクロロエタン等を規制物質に追加。1994年では、@特定物資、その種類及びオゾン層破壊係数を政令で定めることとすること、A不可欠な用途に関する規定の整備、に関する改正が加えられています。また、同年の政令改正によって、HCFC、臭化メチル等が、2002年の政令改正により、ブロモクロロメタンが規制物質に追加されています。

2007年改正では、モントリオール議定書の第19回締約国会議での決定等に対応するため、施行令が改正され、@指定特定物質に係る例外措置の時限の延長(平成19年12月31日から平成23年12月31日まで)、A暫定的に指定特定物質とされる物質にハイドロブロモフルオロカーボン及びブロロクロモメタンを追加、B平成23年12月31日までの暫定措置として臭化メチルの特定用途に「大気中の臭化メチルの濃度又は物品・植物に混入し、若しくは付着している臭化メチルの量の測定」等が追加されました。

<環境法令管理室トップに戻る

2.特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律
(フロン類回収破壊法)法律

フロン類はオゾン層破壊効果に加え、非常に強い温暖化効果も併せ持っています(クロロフルオロカーボン(CFC):単位重量あたり二酸化炭素の4,000〜9,300倍、HCFC:93〜2,000倍)。また、オゾン層破壊物質ではありませんが、カーエアコンの冷媒等に使用されている代替フロンのハイドロフルオロカーボン(HFC)も、二酸化炭素の140〜11,400倍の温暖化効果を有するとされています。つまり、フロン類はオゾン層破壊だけでなく、地球温暖化の視点からも対策を講ずる必要がある物質であるといえます。

1.でみたオゾン層保護法の制定によって、CFCは生産が全廃されましたが、過去に生産されたものは様々な製品のなかに存在していますし、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)やHFCについても同様のことがいえます。そこで、これらの物質を含む製品の廃棄時にフロン類を回収し、適切に処理することにより大気へのフロンの放出を防ぐことを目的として、2001年フロン類回収破壊法が制定されました。

フロン類回収破壊法は、業務用エアコン、冷凍・冷蔵機器(自動販売機を含む)を第1種特定製品、カーエアコンを第2種特定製品として指定し、それらの製品が廃棄される際に回収し、破壊するために各主体に対して引渡し、引取りの義務を課する構成となっています(カーエアコンについては、2005年1月から自動車リサイクル法で扱われています)。
なお、業務用エアコン、冷凍・冷蔵機器(自動販売機を含む)のフロン類回収業は都道府県知事の登録制(法第9条〜18条)とされ、特定製品のフロン類破壊業は主務大臣(経済産業大臣及び環境大臣)の許可制(法第25条〜28条)とされています。また、何人もみだりに特定製品からフロン類を放出をしてはならないこと(法第38条)、が規定されています。
つまり、業務用エアコン、冷凍・冷蔵機器(自動販売機を含む)を廃棄する者は、第1種フロン類回収業者に対する引渡し義務、回収業者にはその引取義務と破壊業者への引渡義務、破壊業者にはその引取義務と破壊義務が課されていることになります。

このように業務用エアコン、冷凍・冷蔵機器(自動販売機を含む)、カーエアコンに対するフロン類回収の筋道がつけられたものの、業務用冷凍空調機器からの冷媒フロン類の回収率は30%程度が非常に引く推移したため、2006年、第164国会において、@行程管理制度の導入、A都道府県知事に廃棄者等に対する指導等の権限を付与、B整備時のフロン回収義務の明確化、を柱とした改正がなされました。具体的には下記の通りです。

行程管理制度の導入及び都道府県知事に廃棄者等に対する指導等の権限を付与

@ 機器の廃棄者(ビルのオーナー等)が、フロン類の引渡委託をする際に受託者(設備工事業者、建物解体業者、産廃業者等)に対し委託確認書を交付
A 受託者がフロン回収業者(知事登録)にフロン類の引渡をする際に委託確認書を交付
B フロン回収業者(知事登録)は、受託者及び廃棄者に対して引取証明書を交付
C 都道府県知事は、上記の仕組が適正になされているか、廃棄者及び受託者に対して指導

整備時のフロン回収義務の明確化

@ フロン類回収義務を機器の整備時に拡大。また、機器を金属くずとして売却する場合にも回収を義務化
A 廃棄者が回収業者へのフロン類の引渡しを他人に委託する場合、委託を受けた人の規定が不十分であったことから、整備者・建物解体元請業者・受託者(設備工事業者、建物解体業者、産廃業者等)に義務を拡大

(施行は2007年10月1日)

<環境法令管理室トップに戻る

3.特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)と使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)家電リサイクル法自動車リサイクル法

(1)整備時のフロン回収義務の明確化 家電リサイクル法

家電リサイクル法は1998年に制定され、冷蔵庫・エアコン・テレビ・洗濯機の4品目が再資源化の対象とし、そのうち、冷蔵庫・エアコンについては、フロン類回収と、回収されたフロン類の再利用又は破壊が義務付けられています(施行令第3条/当時)。また、断熱材フロンについては、1999 年6月に策定された家電リサイクル法の基本方針において、適正かつ能率的な回収並びに再利用及び破壊のための技術開発及び施設整備に努めることが必要であるとされていました。

その後、家電リサイクル法の基本方針を踏まえた製造業者等の努力により、家庭用冷蔵庫のリサイクルを実施する再商品化施設(20 施設)において、断熱材フロンの回収に必要な密閉型破砕機の導入等が進展したことなどにより、フロン類の回収・破壊等を一層進める必要性を踏まえ、家庭用冷蔵庫の断熱材フロンについても、回収・破壊等を義務づける政令改正が2002年になされています(施行令第2条)。さらに、同改正において、家庭用冷凍庫も家庭用冷蔵庫と同一の対象品目に加えることとされました。

また、同改正において、家庭用エアコン及び家庭用冷蔵庫の冷媒フロンの回収・破壊等に関しては、「回収し、これを破壊した場合には、当該冷媒として使用されていたものの重量」が製造業者等の帳簿記載義務(施行規則第47 条第1 項ト)とされていましたが、施行初年度に発生した家電処理施設における冷媒フロンの大気放出事件の経験を踏まえ、上記帳簿記載義務事項を「回収重量」、「破壊業者等への出荷重量」、及び「破壊重量」に詳細化する管理の徹底が図られています。
なお、家庭用冷蔵庫の断熱材フロンに関しては、活性炭方式で液化されたものの「回収重量」、「破壊業者等への出荷重量」、及び、「破壊重量」が帳簿記載事項とされています。
現在、施行5年間を経過し、全体的な見直しが実施されています。

(2)自動車リサイクル法におけるフロン類の回収・破壊  自動車リサイクル法

自動車リサイクル法は、2002年に制定され、2005年1月から本格施行されています。もともと、使用済自動車は中古部品や金属回収の観点から価値が高く、国内の自動車解体業者等によって80%程度(重量ベース)がリサイクルされ、残りは主にシュレッダーダストと呼ばれる破砕残さとして埋立処分されていました。

ところが、近年になって、産業廃棄物の最終処分場の逼迫によるシュレッダーダストの処分費の高騰や、鉄スクラップ価格の低迷により、従来のリサイクル・処理システムがうまく機能しなくなり、費用を支払って使用済自動車を引き取ってもらう逆有償化の現象が生じ、負担を嫌った業者等による不法投棄が多発し、大きな社会問題となりました。

上記の社会的背景から、カーエアコン・エアバッグ・シュレッダーダストを対象に、関係主体により引渡・引取義務を定める自動車リサイクル法が立法されることとなりました。カーエアコンは、フロン回収破壊法の第2種特定製品とされていましたが、自動車リサイクル法の施行に伴い同法のなかで運用されています。

自動車リサイクル法施行後の新車については、販売時からリサイクル料金が組み込まれていますが、それ以前の自動車については施行後最初の車検時にリサイクル料金を預託することとされています。こうして預託された資金によって、フロン類の回収料金が賄われることになります。

<環境法令管理室トップに戻る

<前のページ・次のページ>

Member Contents
メンバーコンテンツTop 環境法令改正情報 産廃処理委託契約Q&A 産業廃棄物管理票Q&A

ページの先頭へ
ISO14001環境マネジメントシステム、環境法令改正情報|ISO14001情報ステーション