ISO14001情報ステーション
環境法令管理室_テーマ別法令主要改正解説

循環型社会1

1.循環型社会形成推進基本法(循環基本法) 法律

循環型社会形成推進基本法(循環基本法)は、2000年5月に制定され、2006年1月6日から全面施行されています。文字通り、循環基本法はわが国の廃棄物・リサイクル政策の基本法としての役割を担っています。循環基本法が制定された第147回通常国会では、下記の通り関連する法令の改正・制定が実施され、循環型社会を目指すための法体系が整えられています。

改正されたもの

【1】廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)

@排出事業者責任の強化
・不適正処分に関する支障の除去等の措置命令の強化
・マニフェスト制度の強化
A産業廃棄物処理施設の整備促進

【2】再生資源の利用の促進に関する法律(改正後、資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効 利用促進法))

1Rから3Rへ制定されたもの

【1】食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)

【2】建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(建設資材リサイクル法)

【3】国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(グリーン購入法)

※グリーン購入法は、議員立法

循環基本法は、廃棄物・リサイクル問題を解決し、循環型社会の形成を推進するための『基本法』です。基本法とは一般に、国政において重要なウエイトを占める分野について、国の政策・制度等に関する基本的方針を指し示す法律をいいます。つまり、個々の事業者や国民に対して具体的な義務を課すものではなく、他の関連法律の制定・運用に際しての方針を明示する役割を担うものといえるでしょう。以下、その特徴を概観します。

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2.循環型社会形成推進基本計画(循環基本計画) 法律

循環基本計画は、循環型社会の形成を総合的かつ計画的に進めていくために、循環型社会形成推進基本法(循環基本法)第15条第2項に定められた法定計画です。2002年4月までの中央環境審議会における検討を経て、2003年3月に閣議決定されました。
循環基本計画では、@排出者責任や拡大生産者責任(に基づく制度の拡充・不法投棄の未然防止・取締りや原状回復などの体制の確立、A各主体の自主的行動を促す経済的手法の適切な活用、各種手続の合理化の推進、B循環型社会ビジネスが進展、C国民、NPO(非営利組織)・NGO(非政府組織)、事業者などの積極的な取組及び相互協力、などが推進されることにより、2010年頃までにそれぞれの主体が与えられた責任を果たしつつ、以下のイメージの循環型社会を築くことを目標としています。

<循環型社会のイメージ>

【1】自然の循環と経済社会の循環

資源を有効に活用し、豊かな環境の恵みを享受できる質を重視した社会の構築

【2】暮らしに対する意識と行動の変化

ワンウェイ型ライフスタイルから「循環」基調への転換

【3】ものづくりなどに対する意識と行動の変化

消費者の環境保全に対する意向を進んで取り入れ、新たな技術やシステムを活用したグリーン製品・サービスの提供やビジネスモデルの提案

【4】循環型社会形成へ向けた各主体の活動の活発化

@国・都道府県・市町村
法・条例の制定・適正な施行、循環型の施設の整備

A国民
廃棄物等の分別・資源回収への取組やグリーン製品・サービスの優先的な購入等

BNPO・NGO
廃棄物等の再使用・再生利用やグリーン購入の促進、環境教育・環境学習の推進等
C事業者
環境管理システムの導入等を通じた環境経営の推進

【5】廃棄物等の適正な循環的利用と処分のためのシステムの高度化

<循環型社会形成のための数値目標>

【1】物質フロー指標に関する目標 (目標年度:2010年)

@@資源生産性(GDP÷天然資源等投入量)
約39万円/(1990年度(約21万円/トン)から概ね倍増、2000年度(約28万円/トン)
から概ね4割向上)。

A循環利用率(循環利用料÷(循環利用料+天然資源等投入量))
約14%(1990年度(約8%)から概ね8割向上、2000年度(約10%)から概ね4割向上)。

B最終処分量
約28百万トンとすることを目標とします(1990年度(約110百万トン)から概ね75%減、
2000年度(約56百万トン)から概ね半減)。

<国の取組>

【1】自然界における物質循環の確保

天然資源のうち化石燃料や鉱物資源などの自然界での再生が不可能な資源の使用量の増大を抑制し、再生資源や持続的利用が可能となるように、環境に適切に配慮しつつ収集等がなされたバイオマスなどの活用を促進。

【2】ライフスタイルの変革

循環型社会の形成を着実に推進するため、環境教育・環境学習などを、子供から高齢者までのすべての年齢層を対象として、学校、地域、家庭、職場、野外活動の場など多様な場において互いに連携を図りながら、総合的に推進。

【3】循環型社会ビジネスの振興

国自らも事業者・消費者としてグリーン購入などを行うとともに、各主体が再生品などのグリーン製品・サービスや再生可能エネルギーなどを積極的に利用し、循環型社会ビジネス市場が成育するよう、環境ラベリングやグリーン製品・サービス関連情報の提供、再生品などの品質・安全性等に関する評価基準と試験評価方法に関する規格化の推進。

【4】安全で安心な廃棄物等の循環的利用と処分の実現

@循環基本法に定める優先順位に基づき、廃棄物等の「発生抑制」、「再使用」、「再生利用」、「熱回収」、「適正処分」の実施
A排出者責任・拡大生産者責任の考え方に基づき、製品ごとの特性に応じて、具体的措置の一層の推進
B廃棄物等の有害性の評価を始め、廃棄物等の循環的利用及び処分が環境に与える影響などの調査研究、適正処理技術の開発や普及

【5】循環型社会を支えるための基盤整備

廃棄物等の循環的な利用や処分のための施設の技術開発支援や経済的な助成措置、民間主導の公共サービスの提供の手法など様々な手法を活用して、十分な再生利用能力の確保や施設の適正配置に留意しながら、その整備を促進。

<各主体の果たす役割>

【1】国民

循環型社会の形成に向けライフスタイルの見直しなどをより一層推進。

【2】NPO・NGO

自ら循環型社会の形成に資する活動を行うことなどを通じて社会的な信頼性を高めるとともに、各主体の環境保全活動のつなぎ手としての役割。

【3】事業者

環境に配慮した事業活動を行うとともに、排出者責任や拡大生産者責任を踏まえて、廃棄物等の適正な循環的利用及び処分への取組、消費者との情報ネットワークの構築や情報公開などをより一層推進。

【4】地方公共団体

地域づくりを推進していく上で重要課題の一つである循環型社会を形成するため、地域の自然的・社会的条件に応じた法・条例の着実な施行や廃棄物等の適正な循環的利用及び処分の実施にとどまらず、各主体間のコーディネーターとしての役割。
循環基本計画は、毎年進捗状況を確認し、目標年度である2010年に向けて来年度からは具体的な見直し作業に着手することとされており、これまで2回の点検作業が実施されています。

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3.資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法) 法律

高度経済成長期移行、とくに1980年代後半にはじまるバブル景気は、社会の有りようを大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済社会へと一変させました。このため、廃棄物の最終処分場の逼迫、資源の将来的な枯渇の可能性等が深刻な社会問題としてクローズアップされるようになりました。

こうした背景を受け、通商産業省(当時)は産業構造審議会に対し、循環型社会の具体的なあり方についての検討を委嘱。同会地球環境部会、廃棄物・リサイクル部会の合同基本問題小委員会において約1年に渡って審議を行い、1999年7月に「循環型経済システムの構築に向けて(循環経済ビジョン)」と題する報告書がとりまとめられました。
同報告書においては、循環型社会の形成のために、従来のリサイクル対策(廃棄物の原材料としての再利用対策)の強化に加えて、リデュース対策(廃棄物の発生抑制対策)とリユース対策(廃棄物の部品等としての再使用対策)の本格的な導入が提言なされています。

そして2000年、「再生資源の利用の促進に関する法律」の抜本的な改正がなされ、法律名も資源の有効な利用の促進に関する法律(資源有効利用促進法)に改めるとともに、関連政省令の整備を行われました(2001年4月施行)。

資源有効利用促進法の概要 PDF

【1】基本スキーム

資源有効利用促進法の前身である「再生資源の利用の促進に関する法律」は、3業種・30品目についてリサイクルを規定していましたが、2000年改正により、10業種69品目が、廃棄物の発生抑制(リデュース)対策や部品等の再使用(リユース)対策も含めて対象とされることとなりました。
具体的には、@資源有効利用促進法に基づいて具体的な義務が課せられる業種・製品について政令で指定、A主務大臣(事業所管大臣等)は、当該業種・製品の製造事業者等の「判断の基準となるべき事項」(判断の基準)を主務省令で定め、指導・助言により対象事業者の取組を促進、B対象事業者であって、その生産量等が一定規模以上のものの取組が「判断の基準となるべき事項」に照らして著しく不十分である場合、主務大臣は当該事業者に対して判断の根拠を示して勧告を行うことができる、とされています。
こうした勧告を行っても、事業者の取組が改善しない場合、主務大臣はその旨の公表を行うことができ、それでもなお事業者の取組が改善しない場合、主務大臣は関係審議会の意見を聴取した後、当該事業者に対して命令を行うことができます。当該命令の違反者に対しては罰金50万円が課せられることとされています。

【2】廃棄物の発生抑制(リデュース)対策の対象=指定省資源商品(第18条以下)

以下に掲げる製品の製造事業者(自動車については製造及び修理事業者)は、原材料等の使用の合理化、長期間の使用の促進その他の使用済物品等の発生抑制に取り組むことが求められています。
@自動車
A家電製品(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、衣類乾燥機)
Bパソコン
Cぱちんこ遊技機(回胴式遊技機を含む。)
D金属製家具(金属製の収納家具、棚、事務用机及び回転いす)
Eガス・石油機器(石油ストーブ、ガスグリル付こんろ、ガス瞬間湯沸器、ガスバーナー付ふろがま、石油給湯機)

【3】部品等の再使用(リユース)対策=特定再利用業種(第15条以下)、特定再利用促進製品(第21条以下)
(1)特定再利用業種

以下に掲げる業種に属する事業者は、再生資源又は再生部品の利用に取り組むことが求められています。
@紙製造業
Aガラス容器製造業
B建設業
C硬質塩化ビニル製の管・管継手の製造業
D複写機製造業

(2)特定再利用促進製品

以下に掲げる製品の製造事業者(自動車については製造及び修理事業者)は、再生資源又は再生部品の利用の促進(リユース又はリサイクルが容易な製品の設計・製造)に取り組むことが求められています。
@自動車
A家電製品(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、衣類乾燥機)
Bパソコン
Cぱちんこ遊技機(回胴式遊技機を含む。)
D複写機
E金属製家具(金属製の収納家具、棚、事務用机及び回転いす)
Fガス・石油機器(石油ストーブ、ガスグリル付こんろ、ガス瞬間湯沸器、ガスバーナー付ふろがま、石油給湯機)
G浴室ユニット、システムキッチン
H小形二次電池使用機器(電動工具、コードレスホン等の28品目)

【4】事業者による回収・再生資源、副産物の発生抑制・再生資源(リサイクル)対策=特定省資源事業者(第10条以下)、指定再資源化製品(第26条以下)、指定副産物(第34条以下)
(1)事業者による回収・再生資源(リサイクル)対策=指定再資源化製品

以下に掲げる製品の製造事業者及び輸入事業者は、自主回収及び再資源化に取り組むことが求められています。ただし、小形二次電池については密閉形蓄電池を部品として使用している製品の製造事業者及び輸入事業者も、当該密閉形蓄電池の自主回収に取り組むことが求められています。
また、2003年から家庭用パソコンも追加され、製造業者等による新たな自主回収・再資源化の仕組みが開始されています(制度実施後の新規販売パソコンのリサイクル費用は、販売時徴収/制度実施前に販売されたパソコンのリサイクル費用は廃棄時徴収)。
@パソコン(ブラウン管式・液晶式表示装置を含む。)
A小形二次電池(密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池、密閉形ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池、小形シール鉛蓄電池)

(2−1)副産物の発生抑制・再生資源(リサイクル)対策=特定省資源事業者
以下に掲げる5業種に属する事業者は、副産物の発生抑制等(原材料等の使用の合理化による副産物の発生の抑制及び副産物の再生資源としての利用の促進)に取り組むことが求められています。
@パルプ製造業及び紙製造業
A無機化学工業製品製造業(塩製造業を除く。)及び有機化学工業製品製造業
B製鉄業及び製鋼・製鋼圧延業
C銅第一次製錬・精製業
D自動車製造業(原動機付自転車の製造業を含む。)

(2−2)副産物の発生抑制・再生資源(リサイクル)対策=指定副産物
以下に掲げる副産物に係る業種に属する事業者は、当該副産物の再生資源としての利用の促進に取り組むことが求められています。
@電気業の石炭灰
A建設業の土砂、コンクリートの塊、アスファルト・コンクリートの塊、木材

【5】容器包装等の分別回収のための表示=指定表示製品(第24条以下)

以下に掲げる製品の製造事業者及び輸入事業者は、分別回収の促進のための表示を行うことが求められています。
@スチール製の缶、アルミニウム製の缶
Aペットボトル
B小形二次電池(密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池)
C塩化ビニル製建設資材(硬質塩化ビニル製の管・雨どい・窓枠、塩化ビニル製の床材・壁紙)
D紙製容器包装、プラスチック製容器包装
E小形二次電池(小形シール鉛蓄電池、密閉形ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池の追加)

【6】判断の基準
(1)特定省資源業種

判断の基準として目標の設定、設備の整備、技術の向上、設備の運転の改善等、統括管理者の選任、規格又は仕様による加工、販売又は加工の委託、計測及び記録、情報の提供について規定。例えば製鉄業に属する事業者は、生産工程における工夫によってスラグの発生抑制に取り組むとともに、スラグがセメント、路盤材等の原料として有効利用されるよう、スラグを一定の品質に加工することなどの取り組みが求められています。

(2)特定再利用業種

判断の基準として設備の整備、技術の向上、計画の作成、情報の提供等について規定。例えば複写機製造業については、使用済みの複写機から駆動装置等の再生部品を取り出し、洗浄・検査等を行った後、新たに製造する複写機の部品として再利用することが求められています。

(3)指定省資源化製品

判断の基準として原材料等の使用の合理化、長期間の使用の促進、修理に係る安全性の確保、修理の機会の確保、安全性等の配慮、技術の向上、事前評価、情報の提供、包装材の工夫について規定。例えばパソコンについては、部品等の軽量化を推進するとともに、アップグレード(処理能力の向上)が可能な製品の設計・製造等が求められています。

(4)指定再利用促進製品

判断の基準として原材料の工夫、構造の工夫、分別のための工夫、処理に係る安全性の確保、安全性等の配慮、技術の向上、事前評価、情報の提供、包装材の工夫について規定。例えば自動車について、自動車の設計・製造段階において分解が容易となる構造上の工夫や汚れにくく、再生部品として利用しやすい部品の採用等が求められています。

(5)指定再資源化製品

判断の基準として以下の事項が規定されています。
@自主回収の実効の確保その他実施方法に関する事項
A再資源化の目標に関する事項
パソコン(平成15 年度までに達成):デスクトップ形パソコン50%
ノートブック形パソコン20%
ブラウン管式表示装置55%
液晶式表示装置55%
小形二次電池:密閉形ニッケル・カドミウム蓄電池60%
密閉形ニッケル・水素蓄電池55%
リチウム二次電池30%
小形シール鉛蓄電池50%
B再資源化の実施方法に関する事項
Cその他自主回収及び再資源化の実施に関し必要な事項
(注)密閉形蓄電池を部品として使用しているものとして指定された製品電源装置、電動工具、誘導灯、火災警報設備、防犯警報装置、電動アシスト自転車、電動車いす、パーソナルコンピュータ、プリンター、携帯用データ収集装置、コードレスホン、ファクシミリ装置、電話交換機、携帯電話用装置、MCAシステム用通信装置、簡易無線用通信装置、アマチュア用無線機、ビデオカメラ、ヘッドホンステレオ、電気掃除機、電気かみそり、電気歯ブラシ、非常用照明器具、血圧計、医薬品注入器、電気マッサージ器、家庭用電気治療器、電気気泡発生器、電動式がん具

資源有効利用促進法は、上記のように企業の自主性に重きを置く制度であり、技術的・経済的にリサイクル可能なもののみを対象としています。そのため、事業者の再生利用が不十分であっても、指導・助言・勧告・公表による対応が基本とされ、公表後なお正当な理由なく従わないときに、主務大臣が関係審議会の意見を聴いたうえで措置命令を課すことができ、その違反に対してはじめて罰則が定められています。
環境省は毎年度、『資源有効利用促進法に基づく自主回収及び再資源化の実施状況について』において、事業系パソコン・小型二次電池(ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウム二次電池、小型制御弁式鉛電池)・家庭系パソコンの自主回収・再資源化の実施状況について公表されていますが、現在のところ順調に再資源化がなされていることが伺いしれます。また、現在のところ、措置命令は一度も発動されていません。

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4.容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法) 法律

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)は、1995年6月に制定されました。いわゆる個別リサイクル法のなかでは最も古い法律ということになります。

容器包装リサイクル法が制定された当時は、ライフスタイルの多様化や消費意識の変化等に伴い、一般廃棄物の排出量の増大・最終処分場の残余年数の逼迫が社会問題化していました。とくに1993年のリサイクル率をみてみると、産業廃棄物が39%、一般廃棄物が8%となっており(厚生省(当時)調査)、一般廃棄物に占める割合が容積比で約6割に達する容器包装廃棄物を対象に、資源として有効利用を進め廃棄物の減量を目的とする法制化が検討されることとなりました。

産業廃棄物と一般廃棄物のリサイクル率の相違の原因は、その処理責任の主体にある、というのが当時の有力な見方でした。そのため、容器包装リサイクル法では、市町村のみが全面的に容器包装廃棄物の処理の責任を担うという従来の考え方を改め、消費者は分別排出、市町村は分別収集、事業者は再商品化という新たな役割分担の下でリサイクルを推進しようとする仕組がとられることとなりました。

容器包装リサイクル法は、1998年4月からガラス製容器、飲料又はしょうゆを充填するためのペットボトル、飲料用紙パック(アルミニウムが利用されているものを除く)、等を対象として施行され、2000年4月からこれらの容器包装に加えて、ペットボトル以外のプラスチック製容器包装及び飲料用紙パック以外の紙製容器包装を新たに対象とするとともに、特定事業者の範囲も拡大されています。

容器包装リサイクル法の概要

【1】容器包装リサイクル法の対象となる容器包装

(1)容器包装の定義(法第2条第1項)

容器包装リサイクル法でいう「容器包装」 とは、商品を入れる「容器」および商品を包む「包装」であり、商品の消費した際や商品と分離した場合に不要となるで、「特定容器」と「特定包装」に2分されます。
「特定容器」:容器包装のうち、商品の容器であるものとして主務省令で定められたもの。
「特定包装」:容器包装のうち、特定容器以外のもの。

(2)「容器包装」に該当する場合

容器包装リサイクル法上の「容器包装」に該当すると、基本的には、消費者が分別排出し、市町村が分別収集し、事業者がリサイクル(再商品化)を行う対象となります。

(3)「容器包装」に該当するかどうかの判断基準

※『容器包装に関する基本的考え方について(1999年5月11日厚生省通知)』
@容器または包装であるもの
A商品を入れているものや商品を包んでいるもの
B中身の商品と分離した場合に不要となるもの
C社会通念上、容器包装であると概ね判断可能なもの

【2】対象事業者

(1)特定容器利用事業者(第2条第11項) 製造事業者(販売する商品について特定容器を用いる事業者)
(2)特定容器製造等事業者(第2条第12項) 製造事業者(容器の製造等を行う者)
(3)特定包装利用事業者(第2条第13項) 流通事業者(販売する商品について特定包装を用いる事業者)
(4)適用除外 おおむね常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者については、5人)以下の事業者等であって、その事業年度における売上高が政令で定める金額以下である者等
(5)特定事業となるかどうかの判定 特定事業者となるかどうかの判定は、財団法人日本容器包装リサイクル協会のホームページにある特定事業者判定チャートを利用して調べることができます。

【3】対象事業者

再商品化の対象となるのは、市町村が分別収集をして得られた物のうち、容器包装廃棄物の分別収集に関する省令における分別基準に適合するもので、当初はガラスびんとPETボトルでしたが、2000年以降は、プラスチック製の容器包装、紙パック以外の紙製容器包装のすべてが対象となっています。
特定容器利用事業者及び特定容器製造等事業者は、容器包装の区分ごとに主務省令で定められる下記の分別基準適合物について、その使用量または製造量に応じて、再商品化義務量の再商品化をすることが義務づけられています。
再商品化義務総量
は、
@特定分別基準適合物の収集見込量に特定事業者責任比率を乗じて得た量、
A再商品化計画の再商品化量、
とを比べて、いずれか小さいほうとなります。そして、この再商品化義務総量を容器包装廃棄物の排出量に応じて、業種ごとに区分したうえで、排出見込量によって個々の事業者の負担分が算定されます。特定包装利用事業者は、特定包装に用いる量に応じて同様の義務を負うこととされています。

(1)ガラス製容器

主としてガラス製の容器(ほうけい酸ガラス製および乳白ガラス製のものを除く)であって、次に掲げるもの。 
@びん(瓶)
Aカップ形の容器およびコップ
B皿
C@〜Bに準ずる構造・形状などを有する容器
D容器の栓・ふた・キャップその他これらに類するもの

(2)PETボトル

主としてポリエチレンテレフタレート製の容器(食料品(しょうゆ、乳飲料等)、清涼飲料、酒類)を充てんするための)であって、次に掲げるもの。
@びん(瓶)
A@に準ずる構造・形状などを有する容器

(3)紙製容器包装

主として紙製の容器包装(段ボールを主とするものとアルミ不使用の飲料容器を除く)であって、次に掲げるもの。
@箱およびケース
Aカップ形の容器およびコップ
B皿
C袋
D@〜Cに準ずる構造・形状などを有する容器
E容器の栓・ふた・キャップその他これらに類するもの
F容器に入れられた商品の保護または固定のために、加工・当該容器への接着などがなされ、当該容器の一部として使用される容器
G包装

(4)プラスチック製容器包装

主としてプラスチック製の容器包装(上記の「2 PETボトル」以外のもの)であって、次に掲げるもの。
@箱およびケース
Aびん(瓶)
Bたる及びおけ
Cカップ形の容器及びコップ
D皿
Eくぼみを有するシート状の容器 
Fチューブ状の容器
G袋
H@〜Gまでに掲げるものに準ずる構造・形状等を有する容器
I容器の栓・ふた・キャップその他これらに類するもの
J容器に入れられた商品の保護又は固定のために、加工・当該容器への接着等がされ、当該容器の一部として使用される容器

(5)適用除外

素材・形状の点では上表に該当するものであっても、以下の場合には「容器包装」の対象外になります。
@中身が「商品」ではない場合
手紙やダイレクトメールを入れた封筒・景品を入れた紙袋や箱・家庭で付した容器や包装など 
A「商品」ではなく「役務(サービス)」の提供に使った場合
クリーニングの袋・レンタルビデオ店の貸出用袋・宅配便の袋や箱(ただし、通信販売用の容器として用いた場合は対象)
B中身商品と分離して不要にならない場合
日本人形のガラスケース・CDケース・楽器やカメラのケース

【4】再商品化義務の履行方法

市町村によって分別収集された容器包装廃棄物は、特定事業者によって再商品化されることになります。再商品化に際しては、以下の3つの方法が用意されています。

(1)指定法人への委託(法第14条)

再商品化義務の履行にあたって最も一般的なのは、指定法人(日本容器包装リサイクル協会)への委託により再商品化を実施する方法です。
特定事業者は、指定法人に委託料金を支払い、指定法人はこの委託費を用いて、あらかじめ登録された再商品化事業者の中から入札により全国の自治体の指定保管場所ごとに再商品化事業者を選定し、再商品化を委託します。委託を受けた再商品化事業者は、自治体の指定保管場所から再商品化工場へ搬送し、再商品化を行って利用事業者に有償で引き渡します。この委託により、特定事業者は、その委託量に相当する特定分別基準適合物の量について再商品化したものとみなされます。
なお、指定法人から再商品化事業者への委託費の支払を、再商品化物が確実に利用事業者に引き渡されたことを指定法人が受領書や再商品化事業者の引渡し実績報告書等により確認した後に行うことにより、再商品化物が再商品化されず、最終処分等されることを防止します。

(2)独自ルート(法第15条)

特定事業者が、自らまたは指定法人以外のものに委託して再商品化を行う方法です。この方法によって再商品化を実施するためには、主務大臣の認定を受ける必要があります。

(3)自主会回収(法第15条) 

特定事業者が特定容器、特定包装を自ら回収し、または他の者に委託して回収するものについては、当初から事業者の義務量には含めないこととされています。この方法を実施する場合も、主務大臣の認定が必要となります。

(4)不履行の場合(法第19条以下)

特定事業者が、上記3つのいずれの方法にもよらない場合は、@主務大臣の勧告、A従わない場合の公表、Bさらに従わない場合の命令、Cなお従わない場合の罰金、という手続が踏まれることになります。
2005年末から2006年にかけて経済産業省による上記手続が発動されたケースが生じています。

【5】2006年改正(再掲)

容器包装リサイクル法は、1995年に施行され、以来、ペットボトルの回収率が大きく伸びる等、容器包装廃棄物の分別収集及び再商品化は順調に進展してきました。
容器包装リサイクル法では、法律の施行後10年を経過した場合において施行状況について検討を加えることとされおり、これを踏まえて、中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会において、容器包装リサイクル制度に関する拡大審議として2004年7月から容器包装リサイクル法の評価・検討が進められ、産業構造審議会との合同会合を含めて29回にわたる審議が行われています。
その結果として、2006年1月23日の産業構造審議会との合同会合において、『容器包装リサイクル制度見直しに係る最終取りまとめ案』(PDF)が審議され、パブリックコメントの募集・精査を経て、2月22日に『今後の容器包装リサイクル制度の在り方について(意見具申)』(PDF)が中央環境審議会会長から環境大臣に意見具申されました。
本意見具申(PDF)では、現行の容器包装リサイクル制度の評価と課題を踏まえ、循環型社会形成推進基本法における3R推進の基本原則に則った循環型社会構築の推進等を基本的方向とし、これに沿って、@発生抑制及び再使用の推進、A分別収集・選別保管の在り方、B再商品化手法の見直し、Cその他の論点の4つの論点について、容器包装リサイクル制度の見直しに係る具体的な施策案が提言されています。

改正容器包装リサイクル法は、上記の論点を踏まえて次のように構成されています。

(1)容器包装廃棄物の排出抑制の促進

@消費者の意識向上・事業者との連携の促進
環境大臣が「容器包装廃棄物排出抑制推進員」を委嘱。推進員は、排出の状況や排出抑制の取組の調査、消費者への指導・助言等を行う。
A事業者に対する排出抑制を促進するための措置の導入
小売業等について、「事業者の判断の基準となるべき事項」を主務大臣が定めるとともに、一定量以上の容器包装を利用する事業者に対し、取組状況の報告を義務付け、取組が著しく不十分な場合は勧告・公表・命令を行う措置を導入する。

(2)事業者が市町村に資金を拠出する仕組みの創設

事業者が、再商品化の合理化に寄与する程度を勘案して算定される額の資金を市町村に拠出する仕組みを創設する。

(3)その他の措置

@再商品化の義務を果たさない事業者に対する罰則の強化
再商品化の義務を果たさない事業者(いわゆる「ただ乗り事業者」)に対する罰則を強化する。
A円滑な再商品化に向けた国の方針の明確化
廃ペットボトルの国外への流出等にかんがみ、「再商品化のための円滑な引渡し等に係る事項」を基本方針に定める事項に追加して国の方針を明らかにする。

【6】今後の施行予定

上記改正法は、2006年3月10日に閣議決定、6月5日に公布され、2007年4月1日から施行されることとされています。施行までに際しては、以下の通り関連政省令の改正及び告示が予定されています。

2007年4月1日施行
(1)プラスチック製容器包装の再商品化手法(熱回収)(法第2条第8項)/政令

容器包装リサイクル法第2条第8項では、再商品化に該当する行為を定義していますが、ここでは、製品の原材料として使用する再商品化については、燃料以外の製品への再商品化を原則とし、燃料として利用される製品については政令で定めるものに限定されています。この燃料として利用される製品に、ペットボトル以外のプラスチック製の容器包装に係る分別基準適合物を圧縮又は破砕することにより均質にし、かつ、一定の形状に成形したもの(固形燃料等)が追加されます。

(2)基本方針の改定(法第3条第1項)/告示

今回の法改正で基本方針に係る規定が追加されており、この規定は法律の公布後6か月以内に政令で定める日から施行されます。これを受け、基本方針を改定し、改正法に新たに規定された「分別収集された容器包装廃棄物の再商品化のための円滑な引渡しその他の適正な処理に関する事項」や排出抑制に係る規定が追加されます。

(3)事業者の判断の基準となるべき事項(法第7条の4から法第7条の7まで)/政令・省令

改正法のうち、事業者の判断の基準となるべき事項に係る規定が2007年4月1日から施行されることを受け、以下の政令・省令が定められます。
@ 法第7条の4第1項に規定する、容器包装の使用の合理化を行うことが特に必要な指定容器包装利用事業者の業種として、容器包装の使用量の多い業種であって、容器包装の使用方法の変更や代替手段を用いること等により容器包装の使用の合理化を行うことが期待される業種として、各種商品小売業、飲食料品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業、自動車部分品・附属品小売業、家具・じゅう器・機械器具小売業、医薬品・化粧品小売業、書籍・文房具小売業、スポーツ用品・がん具・娯楽用品・楽器小売業及びたばこ・喫煙具専門小売業が定められます。(政令)
A 法第7条の6に規定する、容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために必要な措置の実施の状況に関して「容器包装多量利用事業者」に対し、容器包装の使用量及び取組の実施状況に係る定期報告を義務付けることとされています。この容器包装多量利用事業者の要件として、事業者の対応能力等を勘案し、当該年度の前年度における容器包装の使用量が50 トン以上であることが規定されます。(政令)
B 法第7条の4に規定する、容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために取り組むべき措置に関する基準(省令)、等を定めることが検討されています。

(4)その他

@ みりん風調味料・めんつゆ等を充てんするペットボトルに係る容器包装区分(法第2条第7項)/省令
めんつゆ・みりん風調味料等を充てんするペットボトルに係る容器包装区分について、従来の「プラスチック容器包装(ペットボトルを除く)」から「ペットボトル」に変更することを検討中。
A 認定に係る自主回収の実施状況について主務大臣へ報告すべき事項(法第18 条第3項)/省令
認定に係る自主回収の実施状況の報告に関する規定は、改正法の公布後6か月以内の政令で定める日から施行されることを受け、認定に係る自主回収の実施状況について主務大臣へ報告すべき事項を定めることを検討中。
B 容器包装多量利用事業者に対する命令に際し意見を聴く審議会等/政令
改正後の容器包装リサイクル法第7条の7においては、主務大臣は容器包装廃棄物の排出の抑制の促進のための取組が著しく不十分である容器包装多量利用事業者に対しては、勧告・公表を行い、政令で定める審議会等の意見を聴いた上で、勧告に係る措置を命ずることができる、とされています。この審議会等について次のように定められます。
・財務大臣の所管に属する事業 たばこ小売業又は塩小売業にあっては財政制度等審議会、酒類小売業にあっては国税審議会
・厚生労働大臣の所管に属する事業 薬事・食品衛生審議会
・農林水産大臣の所管に属する事業 食料・農業・農村政策審議会
・経済産業大臣の所管に属する事業 産業構造審議会
C 報告徴収事項/政令
改正後の容器包装リサイクル法第7条の6において、容器包装多量利用事業者に対しては、容器包装の使用量及び排出の抑制の促進のために取り組んだ措置の実施状況に関する定期の報告を求めており、さらに、排出の抑制の促進の状況が不十分な場合は、改正後の容器包装リサイクル法第7条の7に基づき、勧告、公表及び命令を行うことができることとしていますが、この定期報告だけでは勧告の要否を確実に判断することが困難な場合にも適切に対応できるよう、容器包装多量利用事業者から、容器包装を用いた量、容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために取り組んだ措置の実施状況その他容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進の状況に関する事項の報告を求められることとされます。
D 権限委任/政令
改正後の容器包装リサイクル法第7条の6による定期報告の受理について、同法第43 条第5項に基づき、地方支分部局の長に主務大臣の権限が委任されます。
E 関係審議会令の改正/政令
改正後の容器包装リサイクル法施行令第7条において、容器包装多量利用事業者に対する命令に際し意見を聴く審議会を定めることに伴い、財政制度等審議会、国税審議会、薬事・食品衛生審議会、食料・農業・農村政策審議会及び産業構造審議会の所掌事務が追加されます。

<2008年4月1日施行>
(1)事業者から市町村に対する資金の拠出(法第10 条の2)

@ 再商品化に要すると見込まれた費用の総額(省令)
A 各市町村の再商品化の合理化に寄与する程度を勘案して算定される額(省令) 等
B 品質評価の具体的方法

(2)その他

@ きめ細かいプラスチック製の容器包装廃棄物の分別収集
A リターナブルびんの市町村による分別収集 等

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