ISO14001情報ステーション
ISO14001初歩の初歩
ISO14001:2004入門編
3.申請から認証・登録まで 約1年間の長丁場
ISO14001の認証取得の意思決定から認証・登録まで、平均的に1年ぐらいの期間が必要となります。実際の認証に至るまでのおおよそのスケジュールをまとめると下表のようになります。
認証・登録までの主なスケジュール
ステップ | 期間 *重複あり |
実施項目 | 実施主体 | ||
---|---|---|---|---|---|
経営 TOP |
推進 責任者 |
推進 担当者 |
|||
取得以前 | 1〜2ヶ月 | 取得目的の組織内確認 | ○ | ||
取得の組織意思決定 | ○ | ||||
取得準備 | 1ヶ月 | 推進体制・推進責任者の決定 | ○ | ||
キックオフミーティングの準備 | ○ | ||||
キックオフミーティング | ○ | ||||
取得計画の作成 | 1か月 | 全体計画案の策定 | ○ | ||
全体計画の策定 | ○ | ||||
規格研修の実施 | ○ | ○ | ○ | ||
審査登録機関の選定 | ○ | ||||
審査登録機関の決定 | ○ | ||||
審査登録機関の申請 | ○ | ||||
初期教育訓練の実施 | ○ | ○ | ○ | ||
システム構築 | 6〜7か月 | 初期環境レビュー等の指示 | ○ | ||
初期環境レビュー実施 | ○ | ||||
環境側面の洗い出し | ○ | ||||
環境影響評価実施 | ○ | ||||
法的その他の要求事項の洗い出し | ○ | ||||
環境方針・目的・目標の設定 | ○ | ||||
環境方針・目的・目標の決定 | ○ | ||||
著しい環境側面案の作成 | ○ | ||||
著しい環境側面の設定 | ○ | ||||
著しい環境側面の決定 | ○ | ||||
全体文書体系案の作成 | ○ | ||||
全体文書体系案の設定 | ○ | ||||
全体文書体系案の決定 | ○ | ||||
環境マニュアル案の作成 | ○ | ||||
環境マニュアルの設定 | ○ | ||||
環境マニュアルの決定 | ○ | ||||
文書類作成 | ○ | ||||
法令等教育訓練の実施 | ○ | ○ | ○ | ||
環境マネジメントシステムの説明会の実施 | ○ | ○ | ○ | ||
システム運用 | 2〜3か月 | システム運用 | ○ | ||
内部監査の指示 | ○ | ||||
内部監査の準備 | ○ | ||||
内部監査の実施 | ○ | ||||
内部監査の実施・結果報告 | ○ | ||||
マネジメントレビューの実施 | ○ | ||||
システム改善の指示 | ○ | ||||
システム改善の実施 | ○ | ||||
受審 | 4〜5か月 | 受審前準備 | ○ | ○ | ○ |
審査登録機関審査受審 | ○ | ||||
文書レビュー →改善事項の指示→システム改善 | ○ | ○ | ○ | ||
現地調査@→改善事項の指示→システム改善 | ○ | ○ | ○ | ||
現地調査A→改善事項の確認→認証・登録 | ○ | ○ | ○ |
4.ISO14001認証・登録のメリット・デメリット
(1)メリット ― 組織力の向上が最大のメリット
ISO14001認証・登録の最大のメリットは何でしょうか?
意外と思われるかも知れませんが、組織力の向上です。環境負荷を低減させるためには、設備だけではなくそれを操る人間の力がどうしても必要になります。組織を構成する個々の人間の力が向上していけば、自然と組織力も上がっていきます。逆に考えれば、個人の力量が磨かれない組織では、環境負荷の低減どころか組織の存続すら怪しくなってしまうのです。
そもそもISO14001の規格は、独立した環境マネジメントシステムの構築を要求していません。既存のマネジメントシステム(人事制度や労務管理など)があれば、それらと併せて、あるいはそれらとともに構築しても構わないのです。例えば、個人の力量を上げるためには、研修制度や努力への報償制度が効果的です。こうした人事制度と環境マネジメントシステムを交錯させていけば、組織力向上のために有効な経営システムを構築していくことが可能となります。
ISO14001導入のメリット
具体的効果 | 関連する経営システム | |
---|---|---|
経営上のメリット | 組織力の向上 − 戦略的経営システムの構築 ■構成員の力量アップ ■節約、節電等によるコストダウン ■業務の標準化による効率アップ |
■長期事業計画 ■人事・給与制度 ■労務管理制度 ■ISO9001 |
営業上のメリット | 社会的信用の獲得 − 客観的評価による担保 ■他社との差別化による営業機会の創出 ■グリーン購入の対象となれる ■顧客とのコミュニケーションの円滑化 |
■中期事業計画 ■情報化システム ■顧客管理システム ■ISMS |
(2)デメリット 認証・登録の目的が明確でないと失敗に終わる
ISO14001認証・登録も、取り組み方次第では逆効果が生じてしまうこともあります。組織において、ISO14001認証・登録の目的がはっきりしていない場合など、規格を維持することに精一杯となり業務負荷が増えただけ、という徒労感にさいなまれる例を往々にして見かけることがあります。
この状態に陥ってしまうと、文書作成や内部監査なども義務的に感じられるようになり、ついには本業の業務効率のダウンという悪循環に嵌ってしまいます。
デメリットを避けるためにも、@認証・登録の目的の明確化、A目的の組織内共通理解、B無理のない環境目的・目標の設定、が不可欠です。高いコストと膨大な時間をかけて取り組むのですから、ぜひ、これらの点を踏まえたうえで、認証・登録へ向かってください。
5.認証・登録後はどうなるか? 継続的改善こそ、ISO14001の命題
ISO14001は認証・登録しておしまいではありません。環境方針から導き出した目的の達成に向けて日々研鑽することが求められます。その研鑽の度合いを確認するために毎年、自ら内部監査をし、審査登録機関のサーベイランスを半年又は1年のスパンで受け、認証・登録から3年後には更新審査を受けることになります。
これらの監査・審査に際しては、学生時代の期末試験のように付け焼刃で準備をしたのでは何の意味もありません。また、結果自体に一喜一憂するのにもあまり感心しません。大切なのは、継続的に改善を実施し、個々の力量を磨き、組織力を向上させることにあります。そのためには、有効な教育訓練 ― 例えば、環境法令の制定・改廃に関する研修、内部監査員の研修、必要となる技術習得のための研修など ― を随時実施していくことが重要です。さらに関連する経営システムとの連携を考慮したシステム自体の変更などを検討・改善していくことも大切な要素となります。
監査・審査 | 実施期間 | 内容 | 実施者 |
---|---|---|---|
内部監査 | 年に数回 | ■環境マネジメントシステム全体の適合性の評価 ■特に必要と思われる事項についての評価 |
内部監査員又は外部監査員 |
サーベイランス | 半年又は1年に1回 | ■承認された環境マネジメントシステムの継続性、及び審査要求事項への適合性の検証 ■システム変更の有効性の検討 |
審査登録機関 |
更新審査 | 認証・登録後3年以内 | ■環境マネジメントシステムがISO14001の規格の要求事項を包括的に継続して満足していること、及び適切に実施され維持されていることの検証 | 審査登録機関 |
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